【概要】
御影郷は兵庫県神戸市東灘区にある御影・住吉の一帯を占め、灘五郷のなかでも大手の蔵が集まる郷です。万治2年(1659年)創業の菊正宗酒造、寛保3年(1743年)創業の白鶴酒造、剣菱酒造などが本拠を置き、灘五郷酒造組合の事務所も御影本町にあります。阪神・淡路大震災を経て再建された酒造資料館が複数あり、灘の酒造りの歩みをたどることができます。
【歴史】
御影郷は、文政11年(1828年)に上灘郷が三つに分かれたときの上灘中組を受け継ぐ郷です。御影と住吉を中心に蔵が集まり、六甲山系から流れ出す急流を使った水車精米によって、大量でしかも精白度の高い酒米を確保できたことが発展を支えました。昭和25年(1950年)に御影町と住吉村が神戸市へ編入され、御影郷の範囲はおおむね現在の神戸市東灘区の一部に当たります。
【特徴】
御影郷の特色は、全国に名の通った大手の蔵が集まっている点です。嘉納家が営む菊正宗酒造は万治2年(1659年)、白鶴酒造は寛保3年(1743年)の創業で、ほかに剣菱酒造や泉酒造、神戸酒心館などが並びます。神戸酒心館が醸す「福寿」はノーベル賞の公式行事で振る舞われた酒として知られ、御影郷の酒が海外へ伝わるきっかけにもなりました。
【見どころ】
御影郷には酒造資料館が複数あります。白鶴酒造資料館は大正期の木造蔵を使った施設で、1995年の阪神・淡路大震災で大蔵が倒壊したため、外観を元の姿に戻しながら内部を鉄筋コンクリートで組み直し、1997年に再び開かれました。菊正宗酒造記念館も震災で倒壊しましたが、収蔵品を瓦礫から回収し、旧建物の柱や梁を受け継いで1999年に再建されています。
【トリビア】
御影郷は灘五郷酒造組合の事務所が置かれる郷でもあります。組合員は阪神・淡路大震災の前後で51社から42社へ減り、その後も廃業が続いて現在は二十社あまりにとどまるとされます。一方で震災後は、蔵の再建に合わせて直売所や飲食施設、資料館を併せ持つ蔵が増え、御影郷は酒を造るだけの町から訪ねて味わう町へと姿を変えてきました。




