【概要】
明治屋は大阪府大阪市天王寺にある昭和13年創業の老舗居酒屋。再開発に伴い移転したが、ファンの要望により内装がそのまま移築・再現された。銅製の循環式燗付器やカウンターの絶妙な高さなど、随所に「居酒屋の美学」が感じられる大阪を代表する名店である。
【歴史】
明治屋は昭和13年(1938年)に創業した、大阪府大阪市阿倍野区の老舗居酒屋です。戦前戦後の激動を乗り越え、大阪の下町文化を体現する酒場として長く愛されてきました。2010年代初めの阿倍野再開発によって一度は閉店の危機に立たされましたが、常連客やファンの強い要望を受けて移転が実現します。旧店舗の内装や設えはそのまま新しい店へ移され、昭和の空気感が損なわれることなく引き継がれました。
【特徴】
明治屋の魅力は、店内の随所に感じられる居酒屋の美学にあります。カウンターと椅子の高さの絶妙なつり合いは、酒を飲みながら最も楽な姿勢でくつろげるように計算されたものです。銅製の循環式燗付器は適温の燗酒を出すための道具で、ここから注がれる熱燗は格別の口当たりになります。きずし(しめ鯖)やだし巻き玉子など大阪の定番酒肴が丁寧に作られ、壁に並ぶ短冊のお品書きも昭和の風情そのものです。
【食べ方】
明治屋は天王寺駅と阿倍野駅のどちらからも歩いてすぐ、あべのハルカスにもほど近い場所にあります。まずはビールか冷酒で喉を潤し、看板のきずしとだし巻き玉子を頼むのが通の作法とされています。燗付器で温めた日本酒は人肌燗からぬる燗が特におすすめで、和歌山や兵庫の地酒とも相性は抜群です。カウンターに座れば店の人との会話も楽しめ、界隈には名酒場が点在するのでハシゴ酒にも向いています。
【トリビア】
明治屋の移転と再現は、居酒屋文化の保存という点でも画期的な出来事でした。旧店舗のカウンターや壁材、照明器具に至るまで丁寧に取り外して新店舗へ運び込んだ背景には、この空間を残してほしいという常連客の強い思いがあります。銅製の燗付器はいまではほとんど作られておらず、現役で使われている明治屋のものは貴重な一台です。太田和彦氏の著書を通じて全国に知られる名店となりました。




