【概要】
松尾大社は、京都市西京区の嵐山の南、松尾山のふもとにある神社で、701年(大宝元年)に秦氏が社殿を建てたと伝えられる京都屈指の古社です。大山咋神と中津島姫命をまつり、古くから酒造りの神として全国の酒造家に篤く信仰されてきました。読みは「まつのおたいしゃ」で、京都五社めぐりでは都の西を守る白虎にあたります。
【歴史】
松尾大社の地では、もともと松尾山の山頂近くにある磐座で神がまつられていたといわれます。この一帯に住んだ渡来系の秦氏が氏神としてあがめ、701年に秦忌寸都理が山麓の現在地に社殿を建てたと伝えられます。平安遷都の後は賀茂の社とともに「東の厳神、西の猛霊」と並び称され、都を守る神として朝廷から篤い崇敬を受けました。
【特徴】
松尾大社の本殿は室町時代に建てられ、1542年(天文11年)に大きく修理されたもので、国の重要文化財です。屋根の前後が同じ長さで流れる両流造の一種で、ほかに例の少ない形から松尾造と呼ばれています。秦氏が酒造りの技術に長けていたことから中世以降は酒の神としての信仰が広まり、境内には全国の蔵元から奉納された酒樽が積み上げられています。
【見どころ】
松尾大社の楼門の内側では、境内を流れる一ノ井川の岸辺に約3000株の山吹が植えられ、春には黄金色の花が水面を染めます。社務所の奥には昭和を代表する作庭家の重森三玲が手がけた松風苑があり、磐座を思わせる上古の庭、曲水の庭、蓬莱の庭という趣の異なる三つの庭が並びます。庭の拝観は有料で、時間や料金は変わることがあります。
【トリビア】
松尾大社の境内に湧く「亀の井」の水は延命長寿の水として知られ、酒造家がこの水を持ち帰って仕込みの水に混ぜる習わしが伝わります。亀は松尾の神の使いとされ、境内のあちこちに亀の像が置かれ、撫でると幸運を招くという撫で亀も人気です。作庭した重森三玲は松風苑が完成した1975年に世を去り、この三つの庭が最後の作品となりました。
