【概要】
黒姫山は長野県信濃町にある標高2053メートルの成層火山で、南東から眺めたときの均整のとれた山容から信濃富士と呼ばれてきました。外輪山と中央火口丘の御巣鷹山との間に開けた火口原には七ツ池や峰ノ大池が点在し、日本の重要湿地500にも選ばれています。日本二百名山のひとつでもあり、山名は大蛇に見初められた姫の伝説に由来すると伝えられます。
【歴史】
黒姫山という名は、戦国の世に中野のあたりを治めた高梨氏の姫、黒姫にまつわる悲しい伝説に由来すると語られてきました。姫に恋をした大蛇が若者の姿で現れて求婚し、断られた怒りから里を水浸しにしたものの、姫が山上の池に身を投げたことで水が引いたという筋立てです。このほかに児雷也や熊坂長範の伝承も残っています。
【特徴】
黒姫山は妙高火山群に属する複式火山で、およそ25万年前に活動を始め、最も新しい活動ではおよそ四万年前に中央火口丘の御巣鷹山をつくりました。最高点である標高2053メートルの地点は外輪山の上にあります。南東の側から見たときの稜線の釣り合いが美しく、各地の郷土富士のひとつとして信濃富士と呼ばれてきました。
【見どころ】
外輪山と御巣鷹山に囲まれた火口原には七ツ池や峰ノ大池が散らばり、湿原ではミズバショウやリュウキンカが花を開きます。長野県信濃町にある大橋の登山口や西側の大清水からいくつもの道が延びていますが、外輪山をめぐる道は距離が長く、残雪や崩れの具合で歩きやすさが変わるため、出かける前に最新の情報を確かめておきたいところです。
【トリビア】
黒姫山の麓に広がる信濃町は、俳人の小林一茶が生まれ育ち、晩年を過ごした土地としても知られています。山麓には、作家のC・W・ニコルが荒れた里山を買い取って手入れを重ねたアファンの森も広がります。黒姫の悲話は語り継がれるうちにいくつもの型が生まれ、松谷みよ子がまとめた信濃の民話にも、黒姫物語として収められています。
