【概要】
黒部峡谷 附 猿飛ならびに奥鐘山は、黒部市にある特別名勝です。四季折々の美しい景観が楽しめ、多くの観光客が訪れます。日本の美を象徴する場所の一つです。
【歴史】
黒部峡谷 附 猿飛ならびに奥鐘山は、北アルプスの立山連峰と後立山連峰との間を深く刻む黒部川の峡谷で、1964年(昭和39年)に特別名勝および特別天然記念物へ指定されました。近世まで人を寄せつけない秘境とされ、加賀藩は要害の地として立ち入りを厳しく制限したと伝わります。大正から昭和にかけての電源開発によって歩道や軌道が整えられ、外部の人々にもようやくその全容が知られるようになりました。
【特徴】
峡谷は花崗岩の硬い岩盤を黒部川が激しく下刻して生まれたV字谷で、川面と稜線との高低差は場所によって千メートルを超え、日本有数の規模と険しさを誇ります。豪雪と急流に磨かれた岩肌の間を、水は深い青緑色をたたえて流れ下ります。附として指定された猿飛は猿が飛び越えられるほど川幅が狭まった一角で、奥鐘山は高い岩壁が屹立する西壁によって、登山者の間で広く知られた存在となっています。
【見どころ】
観光の起点は富山県黒部市にある宇奈月温泉で、黒部峡谷鉄道のトロッコ電車が終点の欅平まで約20キロメートルを結び、車窓からは黒薙や鐘釣の渓観を楽しむことができます。欅平からは猿飛峡や奥鐘山西壁を望む遊歩道が延びています。さらに上流の下ノ廊下には白龍峡や十字峡、S字峡が連なりますが、断崖に刻まれた桟道をたどる難路で、十分な装備と経験を要する上級者向けの区間です。
【トリビア】
黒部川は水量が豊かで落差も大きく、大正末期から本格的な電源開発の舞台となりました。奥地の発電所建設は日本の土木史に残る難工事として知られ、岩盤の高熱に阻まれた隧道工事の逸話は文学作品にも描かれています。峡谷沿いには河原を掘れば湯が湧き出す露天風呂もあり、人を拒む厳しい自然と豊かな温泉とが同居する風土を今に伝えています。紅葉の時期にはトロッコ電車が乗客で賑わいます。




