【概要】
小石川後楽園は、文京区にある特別名勝です。四季折々の美しい景観が楽しめ、多くの観光客が訪れます。日本の美を象徴する場所の一つです。
【歴史】
小石川後楽園は1629年、水戸徳川家の初代である頼房が江戸の中屋敷に造営を始め、二代光圀の代に完成した大名庭園で、現存する江戸の庭園でも最も古い部類に入ります。光圀は明から亡命した儒学者の朱舜水を招いて助言を求め、随所に中国趣味を取り入れました。園名は范仲淹の『岳陽楼記』にある「先憂後楽」にちなみ、1952年には特別史跡と特別名勝の二重指定を受けています。
【特徴】
小石川後楽園は池を中心に据えた回遊式築山泉水庭園で、面積は約7ヘクタールに及びます。中国杭州の西湖を写した西湖の堤は日本庭園における先駆例とされ、廬山に見立てた小廬山、京都の東福寺にならった朱塗りの通天橋、嵐山にちなむ大堰川など、和漢の名所を園内に凝縮した造りになっています。渡月橋や白糸の滝も水辺の景色に変化を添えており、限られた敷地に多彩な景を詰め込む江戸初期の作庭意識がうかがえます。
【見どころ】
東京都文京区にある小石川後楽園で象徴的な存在が、水面に映る姿が満月に見えることから名づけられた円月橋で、朱舜水の設計と伝わる石造アーチ橋です。戦災で失われた唐門は2020年に復元され、内庭との境に往時の格式を取り戻しました。春はしだれ桜、初夏は花菖蒲田と青々とした稲田、秋は大堰川周辺のイロハモミジが色づき、四季ごとに大きく趣を変え、東京ドームのすぐ隣とは思えない静けさに包まれます。
【トリビア】
小石川後楽園の名は周辺の地名としても残り、かつての後楽園球場や現在の東京ドームの呼称も、この庭園に由来しています。江戸期には水戸藩の広大な屋敷の庭でしたが、明治以降は軍の施設や球場の用地となって大半が失われ、現存するのは往時の四分の一ほどとされます。水戸黄門として知られる光圀ゆかりの庭がこれだけ残ったこと自体が幸運であり、都心の真ん中に江戸初期の作庭が伝わる、きわめて貴重な事例といえます。




