【概要】
金武宮は、沖縄県金武町にある金武観音寺の境内の地下に広がる鍾乳洞、日秀洞を神域とする琉球八社の一社です。地上に社殿を構えず、洞のなかに小さな祠が置かれているのが大きな特徴です。紀伊から漂着したと伝えられる日秀上人が熊野三所権現を勧請したという由緒をもち、八社のうち唯一、那覇と宜野湾から遠く離れて鎮座しています。
【歴史】
金武宮の創始は詳らかではありませんが、高野山で修行した日秀上人が紀伊の熊野から補陀落渡海の捨身修行に出て金武へ漂着し、尚清王の在位した時代(1527年から1555年)にこの鍾乳洞を霊跡と認めたと伝えられます。上人は自ら彫った三尊を権現の正体として祀り、あわせて金武観音寺を開いたとされ、洞と寺が一体の信仰の場となりました。
【特徴】
祭神は伊弉冉尊・速玉男尊・事解男尊の熊野三神です。金武宮は創建以来ながく社殿を設けず、鍾乳洞そのものが御本体とされてきました。のちに素焼きの陶製の祠が置かれ、いまも洞内に小さな祠が構えられています。日秀洞は長さおよそ二百七十メートルにおよぶ鍾乳洞で、寺の境内から地下へ三十メートルほど下りていく構えです。
【見どころ】
金武観音寺の本堂に手を合わせてから境内の脇へまわると、地下へ下る洞の入口が開いています。階段を下りると外気と隔てられた冷たい空間が続き、鍾乳石のあいだに金武宮の祠と、水を司る水天が祀られています。社殿建築を見に行くのではなく、洞窟という神域そのものを訪ねる参拝になる点が、この社の際立った性格といえます。
【トリビア】
日秀上人には、この洞にひそんでいた大蛇を退治したという伝説が伝わり、洞の名も上人にちなんで日秀洞と呼ばれています。金武宮は琉球八社のうち那覇と宜野湾から離れ、本島の北部寄りに鎮座する唯一の社です。八社をたどるなら那覇の市街から一時間あまり車を走らせることになり、神と仏が同じ境内に並ぶ姿も強く印象に残ります。




