杵島山

(きしまやま)
📍 佐賀県 白石町🎭 文化🏯 歴史⛰️ 名所🌿 自然

【概要】

杵島山は、佐賀県白石町などにまたがる山塊で、『肥前国風土記』に歌垣の記述が残る。古代、この山には杵島ぶりと呼ばれる歌があり、春と秋に男女が集まって酒を飲み、琴を弾き、歌って手をつないで楽しんだと伝えられる。現在は「歌垣の郷」として親しまれている。

【歴史】

佐賀県白石町にある杵島山は、奈良時代に編まれた『肥前国風土記』に歌垣の地として記されている。風土記には、春と秋にこの山へ男女が集い、酒を携え琴を弾き、歌い舞い、手を取り合って遊んだ様子が書きとどめられている。筑波山、歌垣山と並ぶ日本三大歌垣の一つに数えられ、当時の人々にとっては神が宿る聖なる山として仰がれていたと考えられ、麓の人々の信仰を集めていた。

【特徴】

この地で歌われた節は「杵島曲」と呼ばれ、後世まで名を残した。歌碑には「あられふる きしまがたけを さかしみと くさとりかねて いもがてをとる」と刻まれ、杵島の峰が険しいので草をつかみそこね、共に登る愛しい人の手を取る、という意味に読まれている。杵島山は南北およそ9キロにわたって延びる細長い山塊で、最高点は標高370メートルほどで、なだらかな稜線が続いている。

【見どころ】

山の中腹には歌垣公園が整備され、春になると約7万本のつつじが斜面を鮮やかに染め上げる。大半は久留米つつじで、平戸つつじやさつき、霧島つつじも交じっている。晴れた日には眼下に白石平野が広がり、その先に有明海まで見晴らすことができる。古代の人々もこの眺めを前に歌を詠んだのかと想像しながら歩けば、千年を超える時間の隔たりが、ふと縮まるように感じられる場所である。

【トリビア】

歌垣公園には歌碑やモニュメントが据えられ、近年は恋人たちが訪れる場所としても親しまれるようになった。杵島山の名は郡名にもなっており、白石町は今も杵島郡に属している。山麓には数多くの溜め池が点在し、日当たりのよい斜面ではみかんが育てられてきた。古代の歌の記憶を抱えたまま、この山は今も人の暮らしにそっと寄り添い、季節ごとに違う表情を見せ続けているのである。

📅 最終更新: 2026/9/6
杵島山
※画像はAIによって生成されたイメージ画像です