【概要】
横溝正史の作品に登場する探偵。よれよれの袴に帽子、ボサボサ頭で、興奮すると頭を掻きむしる癖がある。因習に縛られた農村や旧家で起こる血なまぐさい事件に挑むことが多く、論理的な謎解きを行う。
【歴史】
金田一耕助は、横溝正史が1946年に雑誌『宝石』へ連載した長編『本陣殺人事件』で世に出た探偵です。作者は戦時中の疎開先である岡山で構想を練り、雪に閉ざされた日本家屋の密室という趣向によって、戦後推理小説の幕を開けました。この作品は第一回探偵作家クラブ賞を受け、以後『獄門島』『八つ墓村』『犬神家の一族』『悪魔の手毬唄』といった代表作が次々に書き継がれていきます。
【特徴】
雀の巣のようなもじゃもじゃ頭にお釜帽、よれよれの袴と着物という風采の上がらない身なりが金田一耕助の目印で、興奮すると頭をかきむしる癖が繰り返し描かれます。都会的な事件を扱う明智小五郎とは対照的に、旧家や因習の残る村で起きる連続殺人に挑み、犯人を追い詰めるだけでなく、事件の背後にひそむ血縁と怨念の悲劇を丹念に解き明かしていく点に、この探偵ならではの大きな特色があります。
【作品背景】
1970年代に角川書店が仕掛けた大規模なメディアミックスによって、この探偵は国民的な知名度を得ることになりました。市川崑監督、石坂浩二主演の映画『犬神家の一族』が1976年に公開されて大ヒットし、続く一連の作品が横溝正史ブームを巻き起こします。テレビドラマでは古谷一行が1977年から長く演じて親しまれ、渥美清や西田敏行、上川隆也ら多くの俳優も、それぞれに個性的な姿を残しています。
【トリビア】
作中の設定では、復員した探偵は大森の旅館に身を寄せたのち、東京都世田谷区にあるという住まいへ落ち着きます。その町名は緑ヶ丘町とされ、戦後の郊外住宅地の空気を映したものと考えられています。名前は言語学者の金田一京助にちなんで付けられたと伝えられており、ボサボサ頭にお釜帽という姿は、今なお推理ものの定番の意匠として繰り返しパロディの題材にされ続けています。




