【概要】
最澄(伝教大師)が開いたとされる天台宗の古刹です。本尊の不動明王は、最澄が唐からの帰路、船のへさきに立って海を鎮めたという伝説から「水引不動」とも呼ばれます。特に足腰の病気にご利益があるとされ、火渡り神事が有名です。
【歴史】
熊本県熊本市にある木原不動尊(長寿寺)は、雁回山長寿寺と号する天台宗の寺院で、比叡山延暦寺の末寺にあたります。寺伝によれば延暦年間(782〜806年)に伝教大師最澄が開いたとされ、本尊の不動明王立像は最澄が一刀三礼して刻んだと伝わります。南区の富合町木原に境内を構え、かつては西国第一の談義所と称されるほどの寺勢を誇った古刹で、今も地域の信仰を集めています。
【特徴】
成田不動尊、目黒不動尊と並ぶ日本三大不動の一つに数えられ、地元では「富合のお不動さん」と呼ばれて親しまれています。本尊は「水引不動」の別名を持ち、大干ばつで田畑がひび割れた際に住民が祈願したところ一夜で雨が降り、御礼参りに訪れると御手足に泥土が付いて濡れていたという伝説に由来します。厄除けや諸願成就の霊験でも知られ、九州各地から参拝者が訪れる祈願の寺となっています。
【見どころ】
毎年2月28日の春季大祭は木原不動尊で最も賑わう日で、修験者が燃え残る炭火の上を素足で渡る「火渡り」と、煮えたぎった釜の湯を浴びる「湯立て」の荒行が公開されます。参拝者も火渡りに加わって無病息災を祈ることができ、数万人が押し寄せます。泥を洗い流したと伝わる「御手洗いの池」も境内に残り、山あいの静かな空気とともに、千二百年を超える祈りの歴史を感じ取ることができます。
【トリビア】
背後にそびえる雁回山という山名には、弓の名手として名高い鎮西八郎源為朝にまつわる伝説があります。平安時代の末頃に為朝がこの山に城を築き、近づく雁を次々と射落としたため、雁が山を避けて迂回して飛ぶようになったと伝わります。最澄が寺を開いてからおよそ200年後の出来事とされ、地域の誇りとして語り継がれてきました。山中には奥之院も営まれ、参道をたどって訪ねることができます。




