【概要】
傘福は、山形県酒田市で江戸時代に北前船の交易で栄えた商人たちが、商売繁盛や子孫繁栄を願って観音堂などに奉納したのが始まりとされる飾りです。朱塗りの大きな和傘の骨組みに沿って絹の端切れで作った野菜や宝袋などの細工物を吊るし、傘は神仏が降臨する目印と考えられてきました。一度途絶えかけましたが2005年に酒田商工会議所女性会の手で復活し、旧料亭「山王くらぶ」に常設展示されています。
【歴史】
山形県酒田市の「傘福(かさふく)」は、江戸時代に北前船の交易で繁栄した商人の町で生まれました。商売繁盛や子孫繁栄、無病息災を願い、観音堂などに奉納されたのが始まりとされています。北前船がもたらした豊かな京文化と地元の風習が融合し、豪華絢爛な絹織物の端切れを用いて作られたお細工物を、神仏の加護を表す大きな傘の下に吊るすという独自で華やかな文化が花開きました。
【特徴】
その名の通り、朱色に塗られた大きな和傘(傘福)の骨組みに沿って、お祝いの意味を持つ色鮮やかな小物を吊るすのが最大の特徴です。傘は神仏が降臨する神聖な目印、または魂を守護する傘蓋(さんがい)であると考えられてきました。飾られるお細工物も豊作を願う「野菜」や、商売のお守りである「宝袋」など、湊町らしい生活に密着した祈りが数多く込められているのが特徴です。
【見どころ】
国の登録有形文化財である旧料亭「山王くらぶ」では、往時の風情が残る和室の空間に、地元の人々によって復元された見事な傘福が常設展示されています。毎年2月下旬から秋にかけて開かれる「湊町酒田の傘福展」では、部屋一面が色鮮やかな傘福で埋め尽くされ、息を呑むほど幻想的で美しい日本の美意識をじっくりと堪能することができます。
【トリビア】
傘福は一度途絶えかけた伝統文化でしたが、2005年に酒田商工会議所女性会が創立25周年の記念事業として取り上げたことをきっかけに復活を遂げました。今では市民ぐるみの活動に発展しており、誰もが参加できる傘福作りの体験教室も随時開催されています。手作りの和のこころが再び見直され、春の酒田雛街道を彩る飾りとしても親しまれ、山王くらぶは一年を通して全国から見学者が訪れる人気スポットへと成長しました。
