【概要】
笠寺観音は、愛知県名古屋市南区にある真言宗智山派の寺院で、正式には天林山笠覆寺と号します。寺伝では天平5年(733年)の創建と伝えられ、雨に濡れる観音像に自分の笠をかけた娘が藤原兼平に見初められて玉照姫となったという縁起から、笠で覆う寺の名がついたといわれます。名古屋城から見ると南南東にあたります。
【歴史】
寺伝によれば天平5年(733年)、僧の善光が呼続の浜に流れ着いた霊木から十一面観音像を刻み、小松寺を建てて祀ったのが笠寺観音の始まりとされます。やがて堂は朽ちて像は雨露にさらされていましたが、延長8年(930年)に藤原兼平と玉照姫の夫婦が現在地に堂を建て直し、笠で覆う寺、すなわち笠覆寺と名付けられたと伝えられます。
【特徴】
笠寺観音という名を生んだのは玉照姫の縁起です。雨の日に濡れそぼつ観音像を見て、自分がかぶっていた笠を脱いでかけた娘が、通りかかった藤原兼平に見初められて都へ迎えられたという物語で、縁結びや良縁の祈願所として長く親しまれてきました。本尊の十一面観音は秘仏で、開帳は八年ごとに行われており、ふだんは厨子のなかに納められています。
【見どころ】
境内には宝暦13年(1763年)頃に建てられた本堂や、現存する建物のなかで最も古い正保年間(1644〜1648年)の多宝塔、仁王門、鐘楼が並び、名古屋市の都市景観重要建築物に指定されています。玉照姫を祀る塔頭の泉増院も隣接し、少し歩けば東海道の江戸から八十八里目にあたる笠寺一里塚のエノキの大木も見られます。
【トリビア】
名古屋城から見て南南東にあたる笠寺観音は、五年に二度めぐってくる恵方の観音様で、その年の節分会はとりわけ多くの人を集めます。毎月6日・16日・26日の六の日には境内で六の市が立ち、露店が参道をにぎわせます。行事の日程や時間は年によって変わることがあるため、出かける前に確かめておくと安心です。最寄りは名鉄名古屋本線の本笠寺駅で、参道には門前町の風情が残ります。




