唐崎夜雨

(からさきのやう)
📍 滋賀県 大津市⛰️ 名所🎭 文化

【概要】

唐崎夜雨は、唐崎神社の境内に枝を広げる松へ夜の雨が降りかかる景色で、近江八景のひとつです。歌川広重は激しい雨に打たれる松を大胆な構図で描き、八景のなかでもとりわけ知られた一枚になりました。いま立っている松は三代目にあたりますが、湖に張り出した岬に一本松が立つたたずまいは、今も変わらず訪ねることができます。

【歴史】

唐崎神社は日吉大社の摂社で、社伝では持統天皇十一年にあたる697年の創建と伝えられます。舒明天皇のころに琴御館宇志丸宿禰がこの地に住んで唐崎と名づけたといい、祭神はその妻とされます。平安時代には都の人々が身を清める七瀬の祓の一所として参詣し、滋賀県大津市にある湖岸の霊地として長く信仰を集めてきました。

【特徴】

唐崎の松は宇志丸宿禰が植えたのに始まると伝えられ、『太平記』や謡曲『自然居士』にも唐崎の一松としてあらわれます。初代は天正年間の大風で倒れ、天正十九年にあたる1591年に大津城主の一族である新庄直忠が二代目を植えました。その二代目も大正十年にあたる1921年に枯れ、いま境内に立つのは三代目の松にあたります。

【見どころ】

境内は琵琶湖に突き出した低い岬にあり、松のかたわらから湖をながめると、対岸に三上山の円い姿が浮かびます。鳥居と松と湖面が重なる眺めは、雨の日でも霞んだ日でも絵になります。境内一帯は滋賀県の名勝に指定されており、松尾芭蕉の唐崎の松は花より朧にてという句にちなむ碑や、唐崎夜雨の石碑や近江八景の碑も置かれています。

【トリビア】

金沢の兼六園に立つ唐崎松は、この唐崎の松から苗を分けて育てたものと伝えられ、冬に施される雪吊りの姿で広く知られる名木になっています。明治のはじめの記録には、二代目の松の幹まわりが十一メートル、枝の広がりが東西七十二メートルにおよんだと記されており、往時の一本松がどれほど大きなものであったかがうかがえます。

📅 最終更新: 2026/9/12
唐崎夜雨
※画像はAIによって生成されたイメージ画像です