【概要】
亀川温泉は、別府市の北の玄関口にあたる海沿いの温泉地で、砂浜に湧く湯を利用した天然の砂湯が名物として知られてきました。江戸時代には小倉へ通じる街道の宿場と湯治場を兼ねてにぎわい、明治期には北の亀川と呼ばれて南の浜脇と並ぶ賑わいの中心になりました。海辺のいたるところから、塩気を帯びた熱い湯がいまも豊かに湧き出しています。
【歴史】
亀川という地名は、平安時代のはじめに地区を流れる冷川で白い亀が捕らえられ、朝廷に献上されたことに由来すると伝えられます。江戸時代の紀行には里屋に温泉有り塩湯なりと記され、豊前小倉へ続く街道の宿場と湯治場を兼ねて栄えました。明治期には五十軒を超える湯が集まり、別府の北部のにぎわいの中心となっていきました。
【特徴】
亀川温泉の湯はナトリウム・塩化物泉が主で、海辺に湧くため塩気があり、湯あがりに体が長く温もるのが特徴です。海岸のすぐ足元まで高温の源泉が届いていて、砂を掘れば湯がしみ出すほどの豊かさです。上人ヶ浜の砂浜に横たわって温かい砂をかけてもらう砂湯は、この土地の地形と湯量が生み出した独特の入浴法にほかなりません。
【見どころ】
上人ヶ浜の砂湯では、波の音を聞きながら温かい砂に全身を埋めてもらう体験ができます。1986年に開かれた施設は2023年にいったん幕を閉じ、公園の整備に合わせて規模を広げ、2025年に生まれ変わりました。町なかには昭和のはじめに社寺風の造りで建てられた共同浴場が保存され、別府の湯治文化を伝える建物として親しまれています。
【トリビア】
上人ヶ浜という地名は、1276年に一遍上人が九州へ渡ったとき、最初にこの浜へ上陸したという伝承にちなむと伝えられます。亀川は療養の施設や学校が集まる一帯でもあり、豊かな湯が古くから治療や保養に役立てられてきた歴史と重なります。別府湾に面しているので、砂に埋まったまま海の向こうから昇る朝日を望むこともできます。




