【概要】
高徳院の阿弥陀如来坐像。鎌倉時代の国宝。約11.3mの青銅製で、元は大仏殿の中にあったが、災害により建物が倒壊し、露坐(屋外)の大仏となった。優美な顔立ちと、周囲の自然との調和が美しい。
【歴史】
高徳院の本尊である阿弥陀如来坐像、いわゆる鎌倉大仏は、1252年に鋳造が始まったと『吾妻鏡』に記されています。かつては大仏殿に納められていましたが、室町時代までに地震や津波、台風によって建物が失われ、以来500年余りにわたって露坐(ろざ)の大仏として風雨に耐えてきました。作者は分かっていないものの、宋の様式を取り入れた作風が見て取れ、国宝に指定されています。
【特徴】
像高は約11.3メートル、重さは約121トンにおよびます。奈良の大仏と比べて均整の取れた姿が印象的で、やや前かがみに俯く姿勢は、参拝者と自然に目線が合うよう設計されたものといわれています。像の内部は空洞になっており、胎内拝観として中に入り鋳造の跡を見学することができます。拝観料300円に加えて胎内拝観には50円が必要で、朝から夕方まで公開されています。
【見どころ】
青空を背にして静かに座る姿は、露坐の大仏ならではの光景です。胎内に入ると、鋳型を継いだ跡や補強の板を間近に観察でき、鎌倉時代の高度な鋳造技術を実感できます。境内には長さ1.8メートルもある大きなわらじが奉納されており、大仏が日本中を歩いて人々を救うようにという願いが込められています。四季折々の草木に包まれた境内をゆっくり歩くのもおすすめです。
【トリビア】
鎌倉大仏を誰が造ったのかは、今なお分かっていません。かつては全体が金箔で覆われており、右の頬のあたりにわずかな痕跡が残っています。与謝野晶子は「鎌倉や御仏なれど釈迦牟尼は美男におはす夏木立かな」と詠みましたが、この大仏は釈迦如来ではなく阿弥陀如来です。関東大震災では台座が崩れたものの、大仏そのものは大きな損傷を免れました。




