【概要】
「銘の神護寺」または「三絶の鐘」と呼ばれます。平安時代の文人・橘広相が序文を作り、菅原是善が銘を書き、藤原敏行が書をしたためたという、当時の最高峰の知識人による銘文が刻まれています。
【歴史】
京都市右京区の高雄にある神護寺の鐘は、貞観17年(875年)に鋳造された国宝で、日本三名鐘の中で最も古い「銘(めい)」を持ちます。「銘の神護寺」と称され、平安時代初期を代表する文人である橘広相が序文を、菅原是善が銘文を撰し、藤原敏行が書を揮毫したことから、当代一流の三名による合作として「三絶の鐘」とも呼ばれます。
【特徴】
高さ147.6センチ、口径80.3センチの堂々とした古鐘で、鐘の内側に刻まれた陽鋳の銘文が見事な筆致で残っており、書道史上の貴重な資料としても知られます。余計な装飾を排した古鐘らしい素朴で重厚な形をしており、平安時代前期の梵鐘の姿を今に伝えています。その価値の高さから、昭和27年(1952年)に国宝に指定されました。
【見どころ】
梵鐘は鐘楼に吊られたままで、撞かれることも一般に公開されることもないため、参拝者は外から鐘楼を仰ぐことになります。鐘楼は元和年間に京都所司代・板倉勝重の寄進によって再建された二階建ての楼造で、高雄の山深い境内にあるため、紅葉の時期には周囲が燃えるような赤に包まれます。急な石段を登った先にあり、到達した時の感動もひとしおです。
【トリビア】
藤原敏行は歌人としてだけでなく当代屈指の能書家としても知られ、その筆跡がこの鐘の価値をいっそう高めています。神護寺を開いた和気清麻呂ゆかりの和気氏一族の発願によるものと伝えられ、銘文には鋳師・志我部海継の名も刻まれています。神護寺はかわらけ投げ発祥の地としても知られるので、参拝の際は厄除けのかわらけ投げもおすすめです。
