【概要】
「因幡堂(いなばどう)」の通称で知られる、町中にある歴史ある寺院です。本尊の薬師如来は「日本三如来」の一つに数えられ、特に「がん封じ」のご利益があるとして、全国から多くの信仰を集めています。
【歴史】
因幡堂 平等寺(薬師如来)は、京都府京都市下京区にある真言宗智山派の寺院です。因幡国司として赴任した橘行平が任地で病に倒れ、夢のお告げに従って賀留津の海中から薬師如来像を引き上げたところ、たちまち快癒したと伝わります。帰京した行平のもとへその像が飛来したため、長保五年に自邸を改めて堂を建てて祀ったのが始まりとされ、のちに高倉天皇から平等寺の勅額を賜りました。
【特徴】
本尊の木造薬師如来立像は平安時代の一木造で、国の重要文化財に指定されています。善光寺の阿弥陀如来、清涼寺の釈迦如来とともに日本三如来に数えられ、なかでも「がん封じ」の霊験があるとして全国から信仰を集めてきました。町なかの寺として幾度も火災に見舞われながら、そのたびに本尊は人々の手で運び出されて難を逃れたと伝わり、地域に守られてきた歴史が今も語り継がれています。
【見どころ】
毎月八日には薬師護摩の祈祷が営まれ、境内では五十を超える店が並ぶ手作り市が開かれて賑わいます。京都十二薬師霊場の第一番札所であり、観音堂は洛陽三十三所観音霊場の札所にもなっているため、御朱印を求めて訪れる参拝者も少なくありません。四条烏丸から歩いて十分ほどの町なかにありながら境内は静かで、観光の合間に立ち寄りやすい寺として親しまれています。
【トリビア】
因幡堂は町衆の寺として芸能とのつながりが深く、狂言の演目「因幡堂」や「鬼瓦」の舞台となったほか、江戸時代には因幡堂芝居と呼ばれる歌舞伎興行も行われていました。室町時代から猿楽狂言がたびたび上演された記録も残り、寺が人々の日常に溶け込んでいた様子がうかがえます。近年は病気平癒を願う人の思いを受け、色鮮やかなお守りや御朱印でも注目を集めています。




