【概要】
生駒山の中腹にある真言律宗の大本山です。現世利益の神様として関西で絶大な信仰を集める「生駒の聖天さん」。役行者や空海ゆかりの修験道の霊場でもあり、厳かな空気が漂う境内の参道には多くの石灯籠が並びます。
【歴史】
生駒聖天(宝山寺)は、奈良県生駒市の生駒山中腹に建つ真言律宗の大本山です。この地は役行者が修行し、弘法大師空海も籠って修法したと伝わる古い霊場でした。延宝六年、湛海律師がこの山に入って伽藍を整え、現在に続く宝山寺の基礎を築きます。歓喜天を祀る聖天堂の霊験が広く伝わり、江戸時代を通じて商人や庶民の信仰を集め、大坂や奈良の町から多くの参詣者が山を登りました。
【特徴】
境内の背後にそそり立つ巨大な岩壁は「般若窟」と呼ばれています。奈良時代に役行者がこの岩窟で修行し、般若経を納めたという寺伝に由来する名で、山岳修験の霊気を今に伝えています。堂宇は急な斜面に沿って階段状に配置され、本堂、聖天堂、多宝塔、そして最も高い場所にある奥の院へと石段が続きます。びっしりと並ぶ灯籠が、寄進した人々の願いの厚さを物語ります。
【見どころ】
参詣の足となるのが、近鉄生駒駅から延びる生駒ケーブルです。大正七年に鳥居前と宝山寺のあいだで開業した日本最初のケーブルカーで、犬や猫をかたどった愛らしい車両が急な斜面を上ります。毎月一日と十六日の歓喜天の縁日には護摩が焚かれ、境内は参拝者でにぎわいます。参道沿いには石段と旅館街が連なり、かつての門前のたたずまいを色濃く残しています。
【トリビア】
宝山寺は「生駒の聖天さん」と呼ばれ、とりわけ商売繁盛の霊験で知られてきました。上方の商人たちは融通を願って参詣し、賽銭を納めるのではなく寺から一年間お金を借り、翌年に利息を添えて返すという「お金の融通」の風習も伝わっています。初詣の参拝者数は奈良でも屈指で、正月には山腹の境内が人で埋まります。山上へ足を延ばせば遊園地もあり、家族連れでも楽しめます。




