【概要】
本御影石は、兵庫県神戸市の御影地方で産出される花崗岩の総称。「御影石」の語源となった石であり、美しいピンクがかった色合いと耐久性で知られる。最高級の石材として、数々の歴史的建造物や墓石に使用されてきた。
【歴史】
本御影石は、六甲山の南麓にあたる兵庫県神戸市東灘区で切り出されてきた花崗岩で、旧御影町の一帯がその産地です。1583年には豊臣秀吉が大坂城の築城に六甲山地の石を用いたと伝わり、採石は江戸時代の享保年間に最盛期を迎えました。御影村の石工が牛車で山から石を運び出し、石屋川沿いに並ぶ石屋で加工したのち、浜から船で各地へ積み出していったといい、石を軸にした産業がこの土地を潤していました。
【特徴】
本御影石の身上は、ベージュを帯びた淡い桜色の石肌にあり、通称を桜御影といいます。長石が生む優しい色合いに黒雲母の粒が散り、風化した表面は柿色に変わりますが、割ると内側は美しい桜色をのぞかせます。結晶が緻密で硬く、いったん磨けば艶が長く保たれることから、明治から昭和初期にかけては最高級の墓石材や建築材として扱われ、国産花崗岩の頂点に位置づけられてきました。
【見どころ】
御影石は国会議事堂や迎賓館、日本銀行本店、大阪城の石垣など数々の名建築に用いられ、日本の花崗岩の代名詞となりました。ただし六甲山一帯は1956年に瀬戸内海国立公園へ編入されたため、本御影石を新たに採ることはできません。産地には石屋川という川の名や、石工にゆかりの深い地名がいくつも残されており、山手の坂道を歩けば、石を運ぶ牛車が行き交った往時のにぎわいをしのぶことができます。
【トリビア】
御影という地名は、神功皇后が泉の水面に自らの姿を映したという伝説に由来するとされ、その地名がやがて花崗岩そのものを指す一般名詞になりました。産地の名が石の名として全国に広まった珍しい例です。現在市場で御影石と呼ばれる製品の多くは中国やインドからの輸入材で、本御影石の名は今もなお最上級の国産花崗岩を指す言葉として、石材の世界で特別な響きをもって使われ続けています。




