秦野葉

(はだのば)
📍 神奈川県 秦野市🥢 名産🏯 歴史📦 その他

【概要】

神奈川県秦野市周辺で栽培された秦野葉は、富士山の火山灰土壌が生んだ名品。温和な気候で育ち、燃焼性が良くマイルドな味わいが特徴。明治時代には「秦野葉」としてのブランドを確立し、耕地整理や品質改善のモデル地区としても注目された。

【歴史】

秦野葉は、神奈川県秦野市を中心に栽培された刻みたばこ用の在来品種です。市内に残る史料では、寛文6年(1666年)の渋沢村の年貢皆済証文にたばこ五十斤の上納が記されており、これが秦野のたばこ耕作を伝える最も古い記録とされています。宝永4年(1707年)の富士山噴火で盆地一帯が厚い火山灰に覆われると、荒れた土地でも育つ作物として葉たばこの栽培が一気に広がりました。

【特徴】

秦野盆地は火山灰が厚く積もった水はけのよい土壌で、丹沢の山々が季節風をやわらげる温和な気候にも恵まれ、葉たばこの栽培に適していました。秦野葉は葉肉がやや薄く、燃焼性がよくてまろやかな香味に仕上がるのが身上です。耕作組合による品質の改良や耕地整理が早くから進められ、全国の産地が手本とする模範的なたばこ産地として知られ、各地から視察に訪れる人も絶えなかったと伝わります。

【味わい】

秦野葉は紙巻きたばこが広まる前の時代に主流だった煙管用の刻み葉で、細く刻んだ葉を火皿に詰めて短く吸い、上品な香りを味わうのが常でした。しかし紙巻きの普及とともに消費は落ち込み、昭和49年(1974年)には産地からその姿を消したとされます。以後は黄色種への切り替えが進み、昭和59年(1984年)に三百年余り続いたたばこ耕作そのものが幕を下ろしました。

【トリビア】

昭和23年(1948年)に始まった秦野たばこ祭は今も毎年秋に開かれ、花火や踊りでにぎわう市内最大の祭りとして親しまれています。たばこ耕作が終わったあとも祭りだけが残り、産業の記憶を伝える行事として続いているのは全国でも珍しい例です。市が開く資料展では秦野葉の耕作道具や葉を干した小屋の写真が公開され、盆地一帯がたばこ畑だった往時の暮らしぶりを知ることができます。

📅 最終更新: 2026/9/6
秦野葉
※画像はAIによって生成されたイメージ画像です