【概要】
岐阜県郡上市八幡町で歌われる民謡群の総称で、「郡上おどり」の伴奏として知られる。「かわさき」「春駒」など十種類の曲目がある。江戸時代、士農工商の融和を図るために始められたとされ、徹夜で踊り明かす「徹夜おどり」は夏の風物詩。
【歴史】
郡上節は、岐阜県郡上市に伝わる民謡と囃子の総称で、四百年を超える歴史を持つと伝えられています。江戸時代の初め、郡上八幡城主の遠藤慶隆が領民の融和を図るため、村々で踊られていた盆踊りを城下に集めて盆の祭として奨励したのが始まりとされます。盆の四日間は身分の隔てなく無礼講で踊ってよいという触れが出され、士農工商の垣根を越えた熱気が年ごとに高まっていきました。
【特徴】
郡上節には「かわさき」「春駒」「三百」「ヤッチク」「古調かわさき」「げんげんばらばら」「猫の子」「さわぎ」「甚句」「まつさか」の十曲があり、それぞれに固有の振付が伴います。伴奏に録音は一切使わず、屋形と呼ばれる屋台の上での生演奏だけで、三味線や笛、太鼓と唄い手の声が夜通し町に響きます。時事を織り込んだ即興の歌詞が飛び出すのも、郡上節ならではの大きな魅力です。
【楽しみ方】
郡上おどりは七月中旬から九月上旬まで三十夜あまりにわたって開かれ、八月十三日から十六日の四夜は、夕方から明け方まで踊り明かす徹夜おどりとなります。見物するだけでなく誰でも自由に輪に入れるのが決まりで、浴衣姿で下駄を鳴らして踊る心地よさは一度味わうと忘れられません。国の重要無形民俗文化財に指定されているほか、ユネスコの無形文化遺産「風流踊」にも含まれる、日本を代表する盆踊りです。
【トリビア】
郡上節の曲目には、それぞれに土地の記憶が刻まれています。宝暦九年に郡上藩主として入った青山氏が、一揆で疲弊した領民へ身分を問わず三百文ずつを与え、その喜びと驚きから里人が地踊りを披露したのが、曲目「三百」の由来と伝わります。また「郡上の八幡出てゆく時は、雨も降らぬに袖しぼる」という「かわさき」の一節も、この土地を離れる者の名残惜しさを今に伝えています。




