【概要】
月山は標高1984メートル、出羽三山の主峰にあたる大きな山です。なだらかに横たわる稜線と豊かな残雪が特徴で、山頂には月読命を祀る月山神社本宮が鎮まります。死後の安楽を願う「過去の山」とされ、八合目の弥陀ヶ原湿原は夏に花で埋まります。日本百名山のひとつで、残雪を使った夏スキーでも広く知られています。
【歴史】
月山神社は月読命を祭神とし、羽黒山や湯殿山とともに蜂子皇子が開いたと伝えられます。江戸時代の三山詣では、羽黒山で現世の幸せを祈ったあとに月山へ登って祖霊を供養し、死後の安楽と往生を願うのが習わしでした。元禄二年には松尾芭蕉が強力と呼ばれる案内人に導かれて登頂し、奥の細道に「雲の峯幾つ崩て月の山」の句を残しています。
【特徴】
月山は山形県鶴岡市、西川町、庄内町などにまたがる標高1984メートルの成層火山で、およそ七十万年前に活動を始めた古い山です。荒々しい岩峰を持たず、ゆるやかな稜線が空へ長く延びていく穏やかな姿が、古くから人々に親しまれてきました。一帯は磐梯朝日国立公園に含まれ、山頂の月山神社本宮が開かれるのは七月一日から九月十五日までに限られます。
【見どころ】
八合目の弥陀ヶ原には大小の池塘が散らばる高層湿原がひろがり、木道をたどって一周することができ、ニッコウキスゲやチングルマが夏の斜面を彩ります。ここから佛生池小屋を経て山頂まではおよそ三時間の登りで、本宮では祓いを受けてから御前に進みます。西側の姥ヶ岳一帯には月山スキー場があり、四月上旬から七月下旬まで残雪の上を滑ることができます。
【トリビア】
豊富な残雪のおかげで、月山は乗鞍岳や立山と並んで夏にスキーができる数少ない山として知られています。深田久弥の日本百名山に選ばれているほか、花の百名山にも名を連ねる花の名山でもあります。芭蕉は奥の細道で「雲霧山気の中に氷雪を踏んで登ること八里」と記し、当時の登拝がどれほど厳しいものだったかを今に伝えています。




