【概要】
佐賀県佐賀市にある古湯温泉は、嘉瀬川沿いの山あいに湯宿が並ぶ温泉地で、古くから佐賀の奥座敷と呼ばれてきました。三十八度前後のぬるい湯にゆっくり身を沈める「ぬる湯」の文化が根づき、下流の熊の川温泉と合わせて古湯・熊の川温泉郷とも呼ばれます。秦の時代の徐福が湯を見つけたという開湯伝説も語り継がれています。
【歴史】
古湯温泉には、秦の始皇帝の命で不老長寿の薬を探した徐福が二千二百年ほど前に湯を見つけたという開湯伝説が伝わります。江戸期には佐賀の城下から人が通う湯治場となり、共同浴場を中心に集落が育ちました。大正から昭和にかけては歌人の斎藤茂吉が滞在して多くの歌を残し、画家の青木繁も足を運んだ文人ゆかりの湯として知られてきました。
【特徴】
湯は三十八度前後とぬるく、アルカリ性の単純温泉で、とろりとした肌ざわりが特徴です。熱い湯に短く入るのではなく、ぬるい湯に長く身を沈める入り方が古くからの作法とされ、地元では「ぬる湯」と呼ばれています。佐賀県佐賀市にある山あいの集落に、十数軒の旅館や浴場が寄り添って湯の里をつくり、静かな滞在を求める人に好まれています。
【見どころ】
温泉街は嘉瀬川の谷に沿って延び、春は川沿いの桜、初夏は蛍、秋は山肌の紅葉と、季節ごとに表情が変わります。上流には北山ダムの湖が広がり、下流には弘法大師が水鳥の湯浴みを見て見つけたと伝わる熊の川温泉が控えています。日帰りの浴場と旅館の湯をめぐり、川沿いを散歩するのが、古湯温泉らしい過ごし方といえます。
【トリビア】
斎藤茂吉は大正九年にこの地で三週間を過ごし、四十首近い歌を詠んだと伝えられ、温泉街には歌碑が立てられています。旧富士町の山里は蕎麦や川魚、山菜にも恵まれ、湯上がりの膳を楽しみに通う人も少なくありません。標高二百メートルほどの谷は夏も涼しく、日帰り入浴を受け入れる時間は宿ごとに違うため、事前の確認が役立ちます。




