【概要】
福地温泉は、岐阜県高山市にある奥飛騨温泉郷の温泉地で、標高およそ1,000メートルの山あいに落ち着いた構えの宿が静かに点在します。平安時代に村上天皇が湯治に訪れたという入湯伝説が残り、源泉のひとつは天皇泉と呼ばれてきました。昭和の香りが漂う朝市や囲炉裏のある古民家、日本有数の化石産地としての顔もあわせ持つ湯の里です。
【歴史】
福地温泉には、平安時代に村上天皇が湯治に訪れたという入湯伝説が伝わり、その名残として天皇泉と呼ばれる源泉の名が残っています。天皇が毒蛇を退治した話に由来するという獅子舞のへんべとりは、高山市の無形民俗文化財に指定され、今も地元の人々の手で受け継がれています。1968年には奥飛騨温泉郷の一つとして国民保養温泉地に指定されました。
【特徴】
標高およそ1,000メートル、周囲を森に囲まれた静かな山里で、単純温泉と炭酸水素塩泉の湯が湧きます。灯りも控えめで、格子戸や重い屋根をもつ落ち着いた構えの宿が多く、露天風呂に身を沈めると聞こえるのは沢の音ばかりという時間が流れます。標高が高いぶん夏も涼しく、秋の紅葉や冬の雪景色と、季節ごとに福地温泉の表情は変わります。
【見どころ】
朝の楽しみは福地温泉朝市で、ブリキの看板が並ぶ小屋に寒干し大根や凍み豆腐、干し椎茸、漬物といった山里の保存食が並びます。飛騨の農家を移した昔ばなしの里では囲炉裏を囲んで一息つけ、源泉を注ぐ石動の湯で内湯と露天風呂に浸かれます。併設の福地化石館では、足もとの地層から掘り出された化石を間近に見ることができます。
【トリビア】
福地は日本でも指折りの化石産地として知られています。1980年に一の谷で見つかった貝形虫の化石は、およそ四億八千万年前のオルドビス紀のものと判定され、日本最古級の化石として注目されました。へんべとりの獅子舞とあわせて、山里の記憶を大切に守り伝えてきた土地柄が、福地温泉の静けさの奥から伝わってきます。




