江差追分

(えさしおいわけ)
📍 北海道 江差町🎭 文化🏯 歴史

【概要】

北海道檜山郡江差町を発祥とする民謡。「民謡の王様」とも称される。信州の馬子唄が越後に伝わり、北前船の船頭たちによって江差に運ばれ、独自の変化を遂げた。尺八の伴奏に乗せて歌われる、格調高く哀調を帯びた旋律が特徴。

【歴史】

江差追分の源流は、信州中山道の追分宿あたりで馬子たちが口ずさんだ馬子唄にあったと伝えられています。それが参勤交代の武士や旅の瞽女を介して越後へ伝わって越後追分となり、北前船の船乗りたちの舟唄として日本海の航路を北上し、蝦夷地へ運ばれました。伊勢松坂系の謙良節と交わりながら、今からおよそ二百年前、北海道江差町の地で独自の節へと磨き上げられたというのが定説になっています。

【特徴】

前唄・本唄・後唄の三つの部分から構成されており、尺八の伴奏に乗せて音を長く引き伸ばす独特の節回しが江差追分の身上です。「かもめの鳴く音にふと目をさまし」で始まる本唄は、息の続く限り声を伸ばして微妙に揺らす高度な技術を求められ、正しく唄い切るには何年もの修練が要るといわれます。その難しさゆえに民謡の王様と呼ばれ、尺八と重なる格調高い哀調が、聴く者の胸に深く迫ります。

【見どころ】

江差追分会館では四月から十月末まで一日三回、江差追分と北海道民謡の実演が行われ、追分資料館や伝習演示室、追分道場も備わり、唄を習うこともできます。毎年九月の第三金曜から日曜には江差追分全国大会が開かれ、予選を勝ち抜いた全国の唄い手およそ三百七十人が三日間にわたって日本一の座を競います。昭和三十八年に始まったこの大会は、現存する民謡コンクールとしては最も古いものです。

【トリビア】

江差はかつてニシン漁と北前船の交易で栄え、「江差の五月は江戸にもない」と謳われるほどのにぎわいを見せた道内有数の港町でした。江差追分の哀調には、その繁栄の記憶と、荒波の海に生きた人々の暮らしの厳しさや哀愁がともに刻まれています。現在は北海道遺産にも選定されており、江差追分会が全国各地に支部を置いて、正調とされる節回しの伝承と後進の育成に力を注いでいます。

📅 最終更新: 2026/9/6
江差追分
※画像はAIによって生成されたイメージ画像です