【概要】
山形県鶴岡市を中心にそびえる羽黒山、月山、湯殿山の三山の総称です。593年に蜂子皇子が開いたと伝わり、羽黒山で現世、月山で前世、湯殿山で来世を巡る「生まれかわりの旅」として、東北随一の修験道の霊場となってきました。羽黒山の国宝五重塔と杉並木の石段は、山形を代表する風景です。
【歴史】
出羽三山は、崇峻天皇の皇子・蜂子皇子が593年に羽黒山を開いたことに始まると伝えられます。皇子は都を逃れて日本海を北上し、三本足の霊鳥に導かれて羽黒山にたどり着いたといい、その後月山と湯殿山を開いて三山の信仰が形づくられました。平安時代以降は修験道の一大拠点として栄え、江戸時代には東国三十三ヶ国の総鎮守と称され、江戸の庶民までもが講を組んで参詣する霊場となりました。
【特徴】
出羽三山の参詣は、羽黒山で現世の幸せを祈り、月山で死後の世界を体験し、湯殿山で生まれ変わるという「生まれかわりの旅」とされ、三山を巡ることが修行の骨格です。羽黒山には冬でも参拝できるよう三山の神を合わせて祀る三神合祭殿があり、月山の山頂は標高1984メートルの月山神社、湯殿山は温泉の湧く巨岩そのものが御神体です。今も山伏が法螺貝を吹いて先達を務め、白装束の参拝者を導きます。
【見どころ】
羽黒山の随神門から続く2446段の石段は、樹齢数百年の杉並木の中を約1.7キロにわたって登り、途中には平安時代の様式を今に伝える国宝の五重塔が静かに立ちます。山上には三神合祭殿と、修験道の歴史を展示する施設があり、精進料理を出す宿坊に泊まって早朝の参拝をするのが本来の楽しみ方です。夏には月山の高山植物、秋には湯殿山の紅葉が美しく、松尾芭蕉が奥の細道で訪れた地でもあります。
【トリビア】
松尾芭蕉は1689年に出羽三山を訪れ、「涼しさやほの三日月の羽黒山」などの句を残しました。湯殿山では古くから「語るなかれ、聞くなかれ」と戒められ、御神体の様子を口外しないのが習わしで、参拝は今も裸足で行います。出羽三山の文化は2016年に「自然と信仰が息づく生まれかわりの旅」として日本遺産に認定され、羽黒山の宿坊街・手向には今も三十軒ほどの宿坊が残っています。




