【概要】
日本三景・天橋立の南側に位置する臨済宗の寺院です。秘仏の本尊・文殊菩薩は「切戸(きれと)の文殊」と呼ばれ、古くから信仰を集めています。境内にある多宝塔は国の重要文化財に指定されており、松林と海に囲まれた美しい景観も魅力です。
【歴史】
寺伝によれば、平安時代の初め、大同3年(808年)に平城天皇の勅願によって創建されたと伝わり、延喜4年(904年)に醍醐天皇から「天橋山智恩寺」の号を賜った年を創建の年次としています。日本三景・天橋立の南のたもとに建つ臨済宗妙心寺派の寺院で、中世には丹後の武家の保護を受けて堂塔が整えられ、智恩寺(切戸の文殊)の名で長く親しまれてきた丹後屈指の古刹です。
【特徴】
本尊の文殊菩薩は秘仏で、正月の三が日をはじめ年に数回の特別な機会にだけ開帳されます。天橋立が切れた狭い水道に面することから「切戸の文殊」、また「九世戸の文殊」とも呼ばれ、奈良の安倍文殊院、山形の亀岡文殊とともに日本三文殊に数えられます。境内は海に面し、潮の香りと松風を感じながら学業成就を祈願できるのも大きな魅力です。知恵を授かる仏として、受験を控えた人の参拝も多く見られます。
【見どころ】
境内でひときわ目を引くのが、国の重要文化財に指定された多宝塔です。明応10年(1501年)に丹後国守護代の延永春信が建立した室町時代の遺構で、高さは18メートルほどあり、松並木や海と調和した優美な姿を見せます。丹後最大級の山門「黄金閣」をくぐれば正面に文殊堂が構え、京都府宮津市を代表する古建築が肩を並べます。潮風に洗われた石畳を進むと、海越しに天橋立の松並木を望むこともできます。
【トリビア】
松の枝や木々に結ばれた扇形の「すえひろ扇子おみくじ」はこの寺の名物で、境内一面に扇の花が咲いたような華やかな眺めをつくり出します。末広がりに運が開けるようにという願いが込められた縁起物で、旅の記念に持ち帰る人も少なくありません。門前の茶屋で売られる「智恵の餅」も古くからの名物で、参詣の楽しみとして親しまれています。雪舟が描いた国宝「天橋立図」にもこの寺の伽藍が描かれています。




