【概要】
「姿の平等院」と称されます。鐘の表面には獅子や天人、唐草文様などの繊細で美しい浮き彫りが施されており、平安時代の工芸技術の粋を集めた国宝です。(現在は実物は鳳翔館に収蔵され、鐘楼には複製が吊るされています)
【歴史】
京都府宇治市の平等院に伝わる梵鐘は、平安時代の11世紀なかごろに鋳造された国宝です。鳳凰堂とほぼ同じ時期に造られたと考えられており、藤原氏の栄華を今に伝える貴重な文化財となっています。表面をびっしりと覆う装飾の美しさから「姿の平等院」と称され、三井寺や神護寺の鐘とともに日本三名鐘に数えられてきました。現在は保存のため、鐘楼には複製が吊るされています。
【特徴】
鐘の表面には、天を舞う天女や獅子、流れるような唐草文様が隙間なく浮き彫りにされています。当時の工芸技術の粋を集めた繊細な彫刻で、日本の梵鐘のなかでもひときわ際立った存在といえるでしょう。上部の竜頭の造形も力強く、全体として均整のとれた美しいたたずまいを見せています。高さは約199センチ、口径は約123センチという堂々とした大きさです。
【見どころ】
ミュージアム鳳翔館では、国宝である実物の鐘を間近に見ることができます。ガラス越しではあるものの、浮き彫りの細部までじっくり観察できる貴重な機会となるでしょう。屋外の鐘楼に掛かる複製は、かつての姿のまま境内の風景に自然に溶け込んでいます。鳳凰堂や阿字池とあわせて写真に収めれば、平安の面影を映した一枚になるはずです。
【トリビア】
この鐘は1980年11月25日に発行された60円普通切手の図案にも採用されました。平安時代の梵鐘で国宝に指定されているものはごくわずかで、平等院の鐘はその代表格といえます。表面に銘文がまったく刻まれていない点も大きな特徴で、文字よりも絵画的な美しさを優先したためと考えられています。「銘」で知られる神護寺の鐘とは、好対照をなす一口です。




