【概要】
備前焼は岡山県備前市にある伊部を中心に、平安時代の末期から千年近くにわたって続いてきた焼き物です。釉薬も絵付けも使わず、鉄分の多い土を長い時間をかけて焼き締めるため、胡麻や緋襷、桟切といった窯変の景色が一つひとつ異なります。桃山時代には茶人に愛され、今も煉瓦の煙突が立つ町並みに窯元が軒を連ねています。
【歴史】
備前焼は岡山県備前市にある伊部を中心に焼かれてきた陶器で、古墳時代の須恵器の流れをくみ、平安時代の末期には現在に通じる焼き締めの器が作られていました。鎌倉時代には壺や甕、すり鉢が主力となり、室町時代の終わりごろから伊部の田で採れる粘土を使うようになって量産が可能になります。桃山時代には茶人に好まれ、茶陶の名品が数多く残されました。
【特徴】
備前焼は釉薬をかけず絵付けもせず、鉄分の多いひよせと呼ばれる粘土を千二百度以上の高温で二週間ほどかけて焼き締めます。窯のなかでの置き方や炎の流れによって表情が変わる窯変が最大の魅力で、灰がかかった胡麻、藁の跡が赤く走る緋襷、灰に埋もれて青黒く焼ける桟切など、同じものが二つとない景色が一点ごとに生まれてきます。
【見どころ】
伊部の町は駅を降りるとすぐに煉瓦の煙突が立ち並び、窯元と登窯が路地の奥まで続く焼き物の町です。備前焼ミュージアムでは桃山時代の名品から人間国宝の作品までをたどることができ、伝統産業会館では産地の器を実際に手に取って選ぶことができます。窯焚きの時期には町のあちこちから煙が立ちのぼり、産地が今も生きていることが感じられます。
【トリビア】
備前焼は高温で長い時間をかけて焼き締めるため生地が固く締まり、昔から投げても割れぬと言われるほど丈夫だと語られてきました。表面に細かな凹凸が残るので、ビールを注ぐときめ細かな泡が立ち、花を生けると水が長持ちするとも言われます。実用の道具として鍛えられてきた性質が、そのまま今の使い勝手の良さにつながっています。




