【概要】
大化の改新の左大臣・安倍倉梯麻呂が創建した日本最古の文殊霊場とされます。本尊の木造騎獅文殊菩薩は高さ7メートルに及ぶ日本最大の文殊像で、国宝に指定されています。陰陽師・安倍晴明ゆかりの寺としても知られ、魔除けの方位除け祈願でも有名です。
【歴史】
大化元年(645年)、大化の改新で左大臣となった安倍倉梯麻呂が、孝徳天皇の勅願を受けて安倍氏の氏寺である安倍山崇敬寺を建てたのが安倍文殊院の始まりとされます。奈良県桜井市にある華厳宗の寺院で、日本最古の文殊霊場ともいわれます。鎌倉時代に現在の地へ移され、もとの寺地は安倍寺跡として国の史跡に指定されています。遣唐使の安倍仲麻呂もこの一族の出で、当地に生まれたと伝わります。
【特徴】
本尊は「渡海文殊群像」と呼ばれる五体の仏像で、獅子にまたがる文殊菩薩像は高さ約7メートルと日本最大を誇ります。鎌倉時代の建仁3年(1203年)ごろに仏師・快慶が手がけた傑作で、2013年に五体すべてが国宝に指定されました。獅子の手綱を引く優填王や、振り返る善財童子の姿も生き生きと表され、雲海を渡る一行の迫力に圧倒されます。堂内では間近に拝観でき、細部の彫りの美しさも堪能できます。
【見どころ】
文殊池に浮かぶ金閣浮御堂には、安倍仲麻呂像や陰陽師・安倍晴明像が祀られ、堂の周りを七度めぐって願いを込める「七まいり」の作法で知られます。秋には約30種のコスモスで作られたコスモス迷路が境内をにぎわせ、春の桜や初夏の花々とともに花の寺としても親しまれています。ボケ封じの霊場としても名高く、健康長寿を願う参拝者が絶えません。文殊池を巡る散策路からは、堂と花々が織りなす景色を楽しめます。
【トリビア】
冬から春にかけては、パンジーなどの花で干支をかたどった巨大な花絵が池のほとりに描かれ、新年恒例の名物として親しまれています。また境内の西古墳には飛鳥時代の精緻な切石積みの横穴式石室が残り、国の特別史跡に指定されています。平安時代の陰陽師・安倍晴明もこの地で学んだと伝わり、方位除けの信仰が今も続いています。合格門をくぐって祈願する受験生の姿も、春先の風物詩となっています。




