【概要】
神奈川県鎌倉市南部の相模湾に面した海岸。夏は海水浴場として賑わうリゾート地であるが、古くからさくら貝の名所としても知られ、「日本小貝三名所」の一つに数えられる。鎌倉文学館など文化施設も近く、歴史と自然が調和した美しい景観が広がる。文人墨客にも愛された風光明媚な海岸である。
【歴史】
神奈川県鎌倉市にある由比ヶ浜は、相模湾に面した幅およそ890メートルにわたって広がる砂浜です。鎌倉時代には「前浜」と呼ばれ、流鏑馬や犬追物といった武芸の稽古の場として使われ、源頼朝は二所詣に出発する前にこの浜で身を清めたと伝わります。1213年の和田合戦や1333年の新田義貞による鎌倉攻めの舞台ともなった、武家の都の歴史を刻んできた海岸でもあります。
【特徴】
由比ヶ浜が日本小貝三名所に数えられてきたのは、遠浅の浜に色とりどりの小さな貝が数多く寄せられるためです。とりわけカバザクラなどの桜貝は薄紅色の光沢がひときわ美しく、秋から冬にかけての干潮どきに、波打ち際で貝を拾い集める人の姿が見られます。1889年の横須賀線の開通で別荘地として開け、1915年には町営の海水浴場が開かれた由緒ある浜辺としても知られています。
【見どころ】
江ノ島電鉄の由比ヶ浜駅や和田塚駅から歩いて5分ほどで浜に出られ、海越しに江の島や富士山を望む夕景は格別です。砂浜は幅が広く、朝夕の散歩道としても親しまれています。夏は海水浴場としてにぎわい、通年でサーフィンを楽しむ人の姿も絶えません。海岸沿いには落ち着いた雰囲気のカフェが並び、長谷寺や高徳院の鎌倉大仏とあわせて歩けば、鎌倉らしい一日を過ごすことができます。
【トリビア】
由比ヶ浜は明治時代から海水浴のメッカとして知られ、多くの文人がこの地に別荘を構えて夏を過ごしました。夏目漱石の小説『こころ』は鎌倉の海水浴場から書き起こされており、その舞台は由比ヶ浜であるとされています。なお浜の一帯では中世の人骨が数多く出土しており、和田合戦や鎌倉攻めの犠牲者を葬った場所ではないかと考えられており、往時の戦のすさまじさを今に伝えています。




