【概要】
三重県四日市市にある四日市市立の資料館で、安島の複合施設そらんぽ四日市に入っています。2015年に開館し、石油化学コンビナートの操業にともなう大気汚染で多くの住民がぜんそくに苦しんだ四日市公害の経緯と、その後の環境改善の取り組みを伝えています。映像や写真、絵本を使った展示で、子どもから大人までが学べるよう構成されています。
【歴史】
1960年ごろに四日市の石油化学コンビナートが本格的に稼働すると、主に硫黄酸化物からなる排煙によって周辺の大気が汚れ、せきや痰、ぜんそくなどの症状を訴える住民が相次ぎました。1967年、磯津地区の患者らがコンビナートを構成する六社を相手取って提訴し、1972年7月24日、津地方裁判所四日市支部は原告勝訴の判決を言い渡しました。
【特徴】
被害の中心となった磯津地区では、1964年の二酸化硫黄の年平均濃度が0.075ppmに達していました。判決を受けて三重県は硫黄酸化物の総量規制を導入し、国は1973年に汚染者負担を原則とする公害健康被害補償法を制定しました。市の公害認定患者は2011年の時点で四百人余りを数え、今も治療を続けている人がいます。
【見どころ】
展示は、産業の発展と暮らしの変化、公害の発生、環境改善の取り組み、まちづくりの変遷、現在の四日市、環境先進都市四日市という六つのコーナーで構成されています。当事者へのインタビュー映像を検索して視聴できるコーナーもあり、これまでに四十人以上が証言を残しました。解説員が配置され、語り部の講話が行われることもあります。
【トリビア】
四日市公害と環境未来館が入るそらんぽ四日市は、四日市市立博物館とプラネタリウムを併せ持つ複合施設で、公害の記録と地域の歴史、宇宙の展示が一つの建物に同居しています。四日市公害では健康被害だけでなく、魚に油の臭いが移って売れなくなる被害も漁業者を苦しめました。判決が企業に高い注意義務を課した点は、その後の公害裁判に影響を与えています。
