【概要】
富山県富山市にある富山県立の資料館で、友杉のとやま健康パーク内に建っています。2012年に開館し、神通川流域で発生したイタイイタイ病の被害と、原因となったカドミウム汚染、そして汚染された農地が復元されるまでの歩みを伝えています。ジオラマや大型スクリーンを使った展示は子どもにも分かりやすく、患者や家族が体験を語る語り部の講話も行われています。
【歴史】
イタイイタイ病は、神通川の上流にある三井金属鉱業神岡鉱業所が亜鉛の製錬にともなって流したカドミウムが原因で、流域の住民に発生しました。1968年5月、厚生省は病の本態をカドミウムの慢性中毒による骨軟化症と断定し、国が公害病と認めた最初の例となりました。富山県立イタイイタイ病資料館は被害と教訓を後世に残すため、2012年4月に開館しました。
【特徴】
腎臓の障害と骨軟化症が特徴で、骨がもろくなってわずかな動作でも骨折し、患者は全身に激しい痛みを訴えました。病名はその痛みを訴える声に由来します。患者の多くは出産を経た中高年の女性でした。1967年に始まった患者認定は2023年末までに累計で二百一人にのぼり、認定に至らないまま腎臓の障害に苦しんだ住民も少なくありません。
【見どころ】
常設展示は、病の発生と原因の究明、裁判、被害者団体と企業の交渉、そして汚染農地の復元という流れで構成されています。ジオラマや大型スクリーン、絵本を用いた説明のほか、手で触れて確かめられる展示もあり、子どもにも理解しやすくなっています。展示パネルや音声ガイドは日本語のほか英語・中国語・韓国語・ロシア語に対応しています。
【トリビア】
神通川流域では、カドミウムに汚染された水田の土を入れ替える大規模な復元事業が行われ、三十年以上をかけて完了しました。これほどの規模で農地がもとに戻された例は世界的にも数が少ないといわれます。また被害者団体は1972年に結んだ公害防止協定に基づいて企業への立入調査を続けており、公害の再発を住民自身が監視する仕組みとして知られています。
