【概要】
大分県中津市にある、山国川の上中流域に形成された広大な渓谷です。火山活動による溶岩台地が川の浸食によって深く削り取られ、数え切れないほどの奇岩や石柱が連なる壮大な景観を生み出しています。江戸時代末期にこの地を訪れた頼山陽がその美しさに感動して「耶馬渓」と名付けたのが始まりと言われています。
【歴史】
耶馬渓は大分県中津市に広がる景勝地で、古くから山岳仏教の修行の場として知られ、切り立った岩壁には羅漢寺をはじめとする古刹が張り付くように建てられてきました。江戸時代の後期に儒学者の頼山陽がこの地を訪れ、漢詩の趣にちなんで耶馬渓と名づけたことから、その名は全国へ広まっていきます。禅海和尚が三十年余りをかけて手掘りで通した青の洞門も、難所を克服した江戸時代の偉業です。
【特徴】
南北およそ三十二キロメートル、東西およそ三十六キロメートルにも及ぶ広い一帯に、本耶馬渓や裏耶馬渓、深耶馬渓といった名で呼ばれる奇岩の景観が点在しています。凝灰岩や溶岩が長い年月をかけて風雨に削られてできた競秀峰などの大岩壁は屏風のようにそびえ、その間を歩いていると、巨大な山水画の中に迷い込んだかのような心持ちにさせられます。
【見どころ】
深耶馬渓にある一目八景の展望台からは、八つの岩峰を一度に見渡すことができ、まさに絶景と呼ぶにふさわしい眺めが広がります。十一月上旬から中旬にかけての紅葉の時期には、灰色の奇岩とカエデやイチョウの燃えるような色合いが響き合い、全国から多くの人が足を運びます。本耶馬渓では青の洞門を実際に歩き、往時のノミの跡に手を触れることもできます。
【トリビア】
青の洞門は、菊池寛が大正時代に発表した小説『恩讐の彼方に』の題材となったことで、いっそう広く知られるようになりました。全国の美しい渓谷には○○耶馬渓という愛称が付けられることが多く、群馬県の吾妻峡が関東の耶馬渓と呼ばれるのもその一例です。耶馬渓という言葉が、すぐれた奇岩の渓谷を指す代名詞として全国に定着している証といえるでしょう。




