【概要】
栃木県日光市の荒沢川にかかる落差約45メートルの幽玄な滝です。江戸時代には芭蕉も訪れ、「暫時は滝に籠るや外の初夏の初め」の句を詠んだ歴史を持ち、かつては岩穴の滝の裏側から鑑賞できました。
【歴史】
栃木県日光市を流れる荒沢川にかかる裏見の滝は、古くから勝道上人が修行を開いた由緒ある滝として伝えられています。元禄2年(1689年)、俳聖・松尾芭蕉が『奥の細道』の旅の途中で日光を訪れ、「暫時(しばらく)は滝に籠るや夏(げ)の初(はじめ)」という名句を詠みました。夏とは僧が一か所にこもって修行する夏安居のことで、滝の裏にしばらく身を置いた自らを修行の始まりに重ねた一句です。
【特徴】
高さ約20メートルの崖から落下する神秘的な滝であり、かつては滝が流れ落ちる岩盤の裏側に人一人が通れる自然の岩穴の道があり、まさに文字通り「滝を裏側から見ることができた」のが名前の由来です。明治35年(1902年)9月の大風水害で滝の上部の岩が崩れ落ちて裏へ通じる道がふさがれ、現在は真正面の観瀑台からその幽玄な姿を眺めることになります。
【見どころ】
駐車場から深い緑と静寂に包まれた遊歩道を約15分ほど進むと、苔むした巨大な岩壁と樹木に囲まれた神秘的な滝が眼前に現れます。この遊歩道は落石防止の工事のためしばらく通行止めでしたが、安全が確認され2024年11月に再び開放されました。華厳の滝や霧降の滝のような開放的な大パノラマとは対照的に、まるで深い秘密の秘境の隠れ家に迷い込んだかのような、厳かで心が洗われるヒーリング効果抜群の静かな空間と水しぶきを肌で感じることができます。
【トリビア】
かつて人々が滝の裏側を通り抜けていた時代、その岩壁には不動明王が祀られており、修行者たちは水の裏側で祈りを捧げながら滝行を行っていたと伝えられます。不動明王は今も滝の裏にありますが、崩落で道が失われたためお参りすることはできません。観瀑台に立ち、白い水の向こうに手を合わせた人々の姿を思い描くのが、いまの裏見の滝の味わい方です。




