【概要】
京都府京都市中京区や下京区などの老舗漬物店が受け継ぐ、京の冬の風物詩です。京野菜の聖護院かぶを薄くスライスし、利尻昆布やみりんと共に樽で漬け込むことで、繊細で甘酸っぱい上品な味わいを生み出します。
【歴史】
京都府京都市中京区などに店舗を構える老舗「大藤(だいとう)」の初代・大黒屋藤三郎が、慶応元年(1865年)に御所へ献上するために考案したのが起源とされています。幕末の動乱期に宮廷の料理人たちが試行錯誤を重ねて生み出した伝統の技法は、やがて京都を代表する高級京漬物として庶民の間にも広く浸透し、現在では京都の冬の訪れを告げる風物詩として全国的に愛されています。
【特徴】
最大の特徴は、伝統的な京野菜である「聖護院かぶ(しょうごいんかぶ)」をカンナを使って厚さわずか約2ミリメートル以下の極薄の円形に削り、北海道産の高級利尻昆布やみりん、酢とともに樽へ幾重にも重ねて漬け込む点です。乳酸発酵による上品でまろやかな酸味と昆布の濃厚な旨味がとけ合い、まるで絹のような滑らかな口当たりと繊細な味わいを実現しているのが大きな魅力です。
【見どころ】
毎年11月頃の初冬になると、京都市中の老舗漬物店の店頭や錦市場のブティックには、まるで白い薔薇の花びらのように美しく円形に飾り付けられた千枚漬けの樽が並び、古都の街角に甘酸っぱい芳醇な香りが漂います。透き通るような白さと昆布の美しい緑色、そして彩りに添えられる赤唐辛子の鮮やかなコントラストは、まさに京料理の美意識を凝縮した芸術品と言えます。
【トリビア】
名前の由来である「千枚漬け」は、大きな樽の中に薄く切った聖護院かぶを千枚以上も何層にも重ねて漬け込む様子から命名されたと言い伝えられています。また、千枚漬けには乳酸菌とともにオリゴ糖や食物繊維が非常に豊富に含まれており、美味しさだけでなく腸内環境を整える健康的な自然発酵食品としても現代の美容や健康に敏感な人々から大変高い注目と評価を集めています。




