【概要】
岡山県、特に南部(玉野市など)の瀬戸内海沿岸地域は、降水量が少なく花崗岩が風化しやすいおいう気候・地質に加え、古くからの製塩業やたたら製鉄のための燃料確保による乱伐、山火事の多発などが原因で、広範囲にわたり山肌が露出したハゲ山となっていた。これらの山々は明治以降、大規模な治山・砂防事業の対象となり、緑の回復に多大な努力が注がれてきた歴史を持つ。
【歴史】
岡山県(県南部の丘陵地)は瀬戸内海に面した玉野市や倉敷市児島、岡山市南部などの低い山々を指し、かつて広範囲がはげ山だったことから日本三大ハゲ山県の一つに数えられます。この地域では古代から製塩が盛んで、江戸時代には児島の塩田が大きく発展しましたが、海水を煮詰める燃料として周辺の山の松が大量に伐採されたとされます。さらに薪や落ち葉を燃料・肥料として採り尽くす暮らしが続き、山は荒廃していきました。
【特徴】
瀬戸内地方は年間降水量が1000ミリ前後と少なく温暖で、基盤となる花崗岩が風化すると水はけの良い真砂土になるため、いったん植生が失われると回復が遅く、雨で土が削られてガリーができやすいのが特徴です。痩せ地に強いアカマツがまばらに生える程度の山が多く、20年ほどの周期で山火事が繰り返されてきたという記録もあります。地理学者の千葉徳爾はこの地域のはげ山の成因を研究したことで知られます。
【見どころ】
岡山県玉野市と倉敷市の境にある王子が岳は、標高233.9メートルの花崗岩の山で、瀬戸内海国立公園に含まれています。山頂付近には巨大な岩塊が積み重なり、「にこにこ岩」と呼ばれる人の横顔のような奇岩が名物です。岩肌が露出した独特の景観は、かつてのはげ山の名残を伝えるものともいえ、眼下に瀬戸大橋や瀬戸内の島々を一望できる展望スポットとして人気を集めています。
【トリビア】
戦後、岡山県は国の支援を受けて治山事業と植林を進め、昭和20年代には完全なはげ山だった県南部の山々も緑を取り戻しました。しかし花崗岩の上にできた土壌はわずか数センチと薄く、2025年3月に岡山市南区で起きた山火事では、乾燥した落ち葉の蓄積と保水力の低さが延焼を広げた要因の一つと指摘され、焼損面積は約565ヘクタールと県内で過去最大規模に達しました。はげ山の歴史は今も地域の防災と結びついています。




