【概要】
岡寺は、奈良県明日香村の岡の丘の中腹にある真言宗豊山派の寺で、正式な名を東光山龍蓋寺といいます。西国三十三所の第七番札所で、日本最初の厄除け霊場として古くから信仰を集めてきました。本堂には塑像としては日本最大とされる如意輪観音坐像が祀られ、春の石楠花や季節の花を浮かべた花手水から花の寺とも呼ばれています。
【歴史】
寺伝では、天智天皇の勅願により、草壁皇子が暮らした岡宮の跡を義淵僧正が賜って寺に改めたのが岡寺の始まりとされます。正式な名の龍蓋寺は、飛鳥の里を荒らした龍を義淵が法力で池に封じ込め、大きな石で蓋をしたという伝説に由来します。鎌倉時代初めの歴史物語の水鏡には、初午の日に厄除けを願って参詣する習わしがすでに記されています。
【特徴】
奈良県明日香村にある岡寺の本堂は、江戸時代後期の1805年に建てられました。堂内の本尊の如意輪観音坐像は、土を盛り重ねて造る塑像として日本最大とされ、高さは4メートルを超えます。弘法大師が日本、中国、インドの土を合わせて造ったという言い伝えもあり、重要文化財に指定されています。西国三十三所の第七番札所として、巡礼者の姿が絶えない寺です。
【見どころ】
仁王門をくぐってすぐの手水舎では、季節ごとに紫陽花やダリアなどの花を水面いっぱいに浮かべた花手水が迎えてくれます。春には境内の斜面を約三千株の石楠花が埋め、花の寺の名にふさわしい彩りに包まれます。本堂の前には龍を封じたと伝わる龍蓋池が残り、奥へ進むと再建された朱塗りの三重塔が木々の上に姿を見せます。花の時期や飾りの内容は年によって変わります。
【トリビア】
開基の義淵僧正は奈良時代を代表する僧の師として知られ、門下からは東大寺の大仏造立に尽くした行基や良弁、遣唐使として唐に渡った玄昉らが育ちました。岡寺に伝わる木心乾漆造の義淵僧正坐像は国宝に指定されており、2019年に東京国立博物館で開かれた奈良大和四寺のみほとけ展でも展示されました。厄除けの寺らしく、境内では厄除けのお守りを求める参拝者も多く見られます。
