【概要】
島根県松江市は、江戸時代後期の大名茶人・松平不昧(ふまい)公によって茶の湯文化が庶民にも広く浸透しました。日常的にお茶を楽しむ風習に合わせ、不昧公好みの上品な銘菓が数多く生み出され、現在も愛されています。
【歴史】
松江の和菓子文化を発展させた最大の功労者は、江戸時代後期の大名であり、不昧流茶道の祖でもある松江藩第7代藩主・松平治郷(不昧公)です。不昧公は優れた茶人として知られ、茶の湯を深く愛し、それを城下の庶民にも奨励しました。同時に、茶事に用いる優れたお菓子を御用菓子屋に作らせたことで、松江の和菓子の品質は飛躍的に高まり、独自の菓子文化が花開きました。
【特徴】
不昧公が愛した「不昧公好み」と呼ばれる銘菓が数多く現代に受け継がれていることが最大の特徴です。代表的なものに、茶の湯の精神を表した「若草」や「山川」などがあり、これらは見た目の派手さを抑えつつも、素材の持ち味を活かした上品な味わいが魅力です。現在でも松江の人々は急須でお茶を淹れ、日常的に和菓子を楽しむ習慣が根付いています。
【見どころ】
国宝・松江城の周辺や、堀川の美しい景色が広がる街並みには、江戸時代から続く老舗の和菓子店が軒を連ねています。城下町の風情を楽しみながら、各店舗で守り継がれる伝統の銘菓を食べ比べるのがおすすめです。また、松江歴史館などの施設では、熟練の和菓子職人による上生菓子の実演を見学したり、実際に和菓子作りの体験をすることも可能です。
【トリビア】
松江では、抹茶を点てて飲むだけでなく、日常的に熱いお湯を注いで飲む「ぼてぼて茶」と呼ばれる独自の茶文化があります。これは不昧公が鷹狩りの際に考案したとも言われ、お茶請けとしてだけでなく、お茶の中にご飯や具材を入れて食べることもあります。和菓子文化と茶の湯が見事に融合し、庶民の暮らしに深く浸透している全国でも珍しい地域です。




