【概要】
三種の神器の一つである剣。スサノオノミコトがヤマタノオロチを退治した際、その尾から出てきたとされる。日本武尊(ヤマトタケルノミコト)の東征神話でも知られる。現在は熱田神宮の御神体として祀られている。
【歴史】
天叢雲剣(草薙剣)は三種の神器の一つで、武の力を象徴する神剣とされています。古事記や日本書紀によれば、出雲で八岐大蛇を退治した須佐之男命が、切り裂いた尾の中から見つけ出し、天照大御神に献上したと伝わります。剣の上には常に雲気がたなびいていたことから天叢雲剣と名づけられ、のちに伊勢に仕えた倭姫命を経て日本武尊の手に渡ったとされ、日本神話でも屈指の名場面として親しまれています。
【特徴】
日本武尊が東征の途上で敵の火攻めに遭った際、この剣で周囲の草を薙ぎ払って難を逃れたことから、草薙剣の名で呼ばれるようになったと伝えられます。日本武尊は妃の宮簀媛のもとに剣を残したまま伊吹山の荒ぶる神を討ちに向かい、そこで病を得て世を去ったと伝わります。残された剣を祀るために創建されたのが熱田神宮であるとされ、剣は勇気や決断の象徴として長く尊ばれてきました。
【見どころ】
愛知県名古屋市にある熱田神宮では、天叢雲剣(草薙剣)を御神体として本宮に祀っています。約19万平方メートルの境内は「熱田の杜」と呼ばれる深い緑に覆われ、都心にありながら深い静寂に包まれています。武神への信仰を集める別宮の八剣宮や、織田信長が桶狭間の戦勝を謝して奉納したと伝わる信長塀など、剣にまつわる歴史をたどれる見どころが数多く揃っています。宝物館では奉納された刀剣も公開されています。
【トリビア】
壇ノ浦の戦いでは、幼い安徳天皇とともに宝剣が海へ沈んだと平家物語は伝えます。沈んだのは宮中に置かれた形代で本体は熱田神宮に無事だったとされる一方、失われた形代の代わりに伊勢神宮から献じられた剣が用いられたとも言われます。天智天皇の時代には新羅の僧が剣を盗み出したという記録も残されており、実在と所在をめぐって数多くの説が語られてきた、謎の多い神器です。




