【概要】
静岡県静岡市の久能山に鎮座する、徳川家康公をご祭神とする神社。家康公の遺言に従って最初に造営され、遺骸が埋葬された場所として、全国の東照宮の「発祥の地」とも言われます。
【歴史】
久能山東照宮は、元和2年(1616年)4月に駿府城で75歳の生涯を閉じた徳川家康公が、遺言により久能山に葬られたことに始まります。二代将軍秀忠公の命で幕府大工棟梁の中井正清が造営にあたり、わずか1年7か月で元和3年(1617年)に社殿が完成しました。久能山はかつて武田信玄が久能城を築いた要害で、家康公は駿府城の守りを担うこの地を自らの墓所に選んだとされ、全国の東照宮の発祥の地といわれます。
【特徴】
静岡県静岡市の久能山東照宮の本殿・石の間・拝殿は、本殿と拝殿を石の間でつなぐ権現造の複合社殿で、江戸幕府草創期の高い建築技術を伝えることから2010年に国宝に指定されました。総漆塗り極彩色の社殿は要所に彫刻や飾金具を施し、後の日光東照宮の原型ともいえる荘厳な意匠を備えています。楼門や神庫、唐門など13棟が重要文化財に指定され、境内全体が国の史跡となっています。
【見どころ】
駿河湾を見下ろす久能山東照宮への表参道は、海岸から続く1159段の曲がりくねった石段で、「いちいちごくろうさん」の語呂合わせで親しまれています。日本平からロープウェイに乗れば、谷を越える空中散歩を楽しみながら約5分で境内に着きます。社殿の奥には家康公の遺骸が納められたと伝わる神廟が静かに佇み、久能山東照宮博物館では家康公の愛刀や甲冑、身の回りの品々を鑑賞できます。
【トリビア】
久能山東照宮博物館には、1611年にスペイン国王フェリペ3世から家康公に贈られた洋時計が伝わっています。遭難したスペイン船の乗員を救助した返礼として届いたもので、2012年の大英博物館の調査で内部の機構の9割以上が当時のまま残る極めて希少な時計と評価され、国の重要文化財に指定されています。また拝殿の蟇股には命の尊さを説く中国の故事「司馬温公の甕割り」の彫刻があり、家康公の平和への願いを表すといわれます。




