【概要】
栃木県日光市の霧降川にかかる上下二段、落差約75メートルの美しい名瀑です。下段の滝で水が岩肌に何度も衝突して細かな霧(きり)となって空中へ降り注ぐ様子から、その幻想的な名前が付けられました。
【歴史】
栃木県日光市を流れる霧降川にかかる霧降の滝は、古くから日光山の奥深い信仰と結びついた名瀑として知られ、江戸時代には葛飾北斎が浮世絵「諸国滝廻り 下野黒髪山きりふりの滝」としてダイナミックに描いたことで全国に名を馳せました。明治時代以降も文人墨客たちが頻繁に訪れ、日光の大自然を象徴する風光明媚な観光名所として高く評価されてきました。
【特徴】
滝は大きく上段と下段の二段構造に分かれており、全長約75メートルの高さを誇ります。上段は約25メートルの落差を一本の太い流れとして静かに落下しますが、下段の約26メートルの滝では水流が階段状のゴツゴツとした黒い岩肌に激しく何度も衝突し、水が細かい霧(きり)状になって空中へ降り注ぐように拡散することから、この美しい名前がつけられました。
【見どころ】
駐車場から新緑や紅葉に彩られた静かな遊歩道を約10分ほど歩くと、観瀑台(展望デッキ)へ到達し、深い緑の渓谷の正面に現れる優雅で白く美しい滝の全貌を一望することができます。とくに秋の紅葉シーズンには、赤や黄色に鮮やかに染まったカエデやナナカマドの原生林と、真っ白に飛び散る滝の飛沫が織りなす絵画のように完璧な大自然のコントラストを楽しめます。
【トリビア】
江戸時代の浮世絵師・葛飾北斎が描いた霧降の滝の作品では、水の流れがまるで生き物の触手や何本もの指のように細かくうねりながら岩に絡みつく非常に斬新で独特なタッチで表現されています。一見すると誇張された抽象的なデフォルメのように見えますが、実際にハイスピードカメラで撮影すると、水の粒子がまさに北斎の絵と同じような複雑な軌跡を描いていることが分かり話題となりました。




