【概要】
キングの塔は、神奈川県横浜市中区にある神奈川県庁本庁舎の塔屋に付けられた愛称です。関東大震災で失われた先代に代わる四代目の庁舎として、1928年に完成しました。懸賞設計で当選した小尾嘉郎の案をもとにした建物で、茶褐色のタイル壁に幾何学模様の装飾をあしらい、頂部に和風の屋根を載せた姿は帝冠様式の先駆けとされています。
【歴史】
キングの塔(神奈川県庁本庁舎)は、1923年の関東大震災で三代目の庁舎を焼失した神奈川県が、四代目として建て直した建物です。設計案は広く懸賞設計で募られ、小尾嘉郎の案が当選しました。これをもとに実施設計がまとめられ、1928年10月31日に竣工しています。以来、一世紀近くにわたって県政の中枢としての役目を果たし続けています。
【特徴】
外観は左右対称の重厚な構えで、外壁には細い溝を刻んだ茶褐色のタイルが張られ、窓まわりや軒先にはアール・デコを思わせる幾何学模様の装飾が並びます。中央にそびえる塔の高さはおよそ49メートルで、頂部には和風の宝形屋根が載せられています。西洋建築に日本の屋根を重ねたこの意匠は、帝冠様式の先駆けとして建築史に位置づけられています。
【見どころ】
神奈川県横浜市中区にある本庁舎は現役の官庁でありながら、平日の開庁時間には内部を見学できます。重厚な玄関ホールや大階段のほか、六階の歴史展示室と屋上の展望台が公開され、屋上からはクイーンの塔やジャックの塔、横浜港の眺めをまとめて楽しめます。正面の日本大通り側は、三塔を一度に望める場所としても知られています。
【トリビア】
キングという愛称は、昭和初期に横浜港へ入ってきた外国航路の船員たちが、港から見える三つの塔をトランプの絵札に見立てて呼んだことに始まると言われています。三塔の中でも堂々とした姿から王の札を当てられ、のちに建った横浜税関の塔が高さを意識したという逸話も残ります。本庁舎は2019年に国の重要文化財に指定されました。




