【概要】
貴船神社は京都市左京区に鎮座する水神の総本宮で、境内の「結社」に縁結びの神・磐長姫命が祀られている。平安時代の歌人・和泉式部が夫婦円満を祈願し成就したことから、古来より恋を祈る社として信仰を集め、赤い灯籠が並ぶ参道は京都を代表する景観として親しまれている。
【歴史】
貴船神社は京都市左京区に鎮座する、全国およそ450社の貴船神社の総本宮です。創建の年は不詳ながら、千六百年ほど前にさかのぼると伝えられます。御祭神は水を司る高龗神(たかおかみのかみ)で、古くから雨乞いや止雨の神として朝廷の崇敬を受けてきました。縁結びの信仰は、中宮の「結社(ゆいのやしろ)」に祀られる磐長姫命に由来します。平安時代の歌人・和泉式部が夫との不仲を嘆いて詣で、歌を詠んだところ復縁が叶ったと伝わります。
【特徴】
貴船神社といえば、石段の参道の両側に朱塗りの灯籠が整然と並ぶ幻想的な光景がまず思い浮かびます。赤い灯籠と周囲の緑のコントラストは京都を代表する景観の一つで、写真に収める人が絶えません。縁結びの中宮である結社では、笹の葉に願い事を書いて結ぶ「結び文」が人気を集めています。御神水に浮かべると文字が浮かび上がる「水占みくじ」も、参拝の楽しみとして広く知られる名物になっています。
【見どころ】
貴船神社は本宮・結社(中宮)・奥宮の三社からなり、この順に巡る三社詣が正式な参拝とされています。叡山電鉄の貴船口駅からバスか徒歩で向かう道中も、鞍馬の山に抱かれた美しい風景が続きます。新緑と紅葉の季節はとりわけ見事で、ライトアップも行われます。夏には貴船川の上に床を張った川床料理が名物となり、冬は雪をかぶった灯籠の参道が幻想的で、四季を通じて表情が変わります。
【トリビア】
貴船神社は「きふね」と読み、「きぶね」ではありません。地名は「きぶね」と濁りますが、水の神を祀る社であることから、神社名は濁らせずに呼ぶのだと説明されています。和泉式部が詠んだ「もの思へば沢の蛍も我が身よりあくがれいづる魂かとぞみる」は名歌として知られ、結社に歌碑が建てられています。丑の刻参りの発祥地としても語られますが、これは本来の信仰とは無関係な後世の俗説です。




