【概要】
金沢おでんは加賀百万石の料亭文化を受け継ぐ上品なおでんです。昆布と鰹節から取った透き通った黄金色の出汁に、カニ面・車麩・バイ貝・源助大根など地元ならではの高級食材が並びます。冬の香箱ガニの甲羅に身と卵を詰めたカニ面は金沢おでんの象徴的な一品です。
【歴史】
金沢おでんの歴史は、加賀藩以来の料亭文化に根ざしています。加賀百万石の城下町として栄えた金沢では料理の繊細さと美しさが重んじられ、おでんにもその美意識が受け継がれてきました。昭和初期から片町や香林坊を中心に専門店が増え、地元の食材をふんだんに使う独自のスタイルが確立していきます。人口あたりのおでん店の多さは全国でも屈指とされ、金沢おでんは冬の風物詩として市民にも観光客にも親しまれています。
【特徴】
金沢おでんの特徴は、昆布と鰹節から丁寧に取った透き通る黄金色の出汁と、地元食材を生かした華やかな具材にあります。冬季限定のカニ面は香箱ガニの甲羅に身と内子、外子を詰めた贅沢な一品で、金沢おでんの象徴といえる存在です。車麩は出汁を吸ってジューシーな食感に仕上がり、バイ貝は日本海の恵みを感じさせてくれます。加賀野菜の源助大根は柔らかく甘みが強く、赤巻かまぼこの渦巻き模様も金沢ならではの彩りを添えます。
【食べ方】
金沢おでんは片町や香林坊の繁華街に専門店が集まっており、観光客も気軽に立ち寄れます。1927年(昭和2年)創業の赤玉本店では、カウンター越しに職人が仕上げるおでんを目の前で味わえるのが魅力です。冬のカニ面は香箱ガニの漁期に合わせた11月から12月末頃までの期間限定で、売り切れることも珍しくありません。加賀鳶や天狗舞といった石川の辛口の地酒と合わせると、出汁の旨味がいっそう引き立ちます。
【トリビア】
金沢の家庭ではおでんが食卓に並ぶ機会が多く、専門店だけでなく日常の料理としても根づいています。カニ面は職人が手作業でカニの身をほぐして甲羅に詰めるため、一つ仕込むのに30分ほどかかるといわれます。直径15センチほどもある車麩を惜しみなく使うのも金沢ならではでしょう。冬の料理という印象とは裏腹に夏でも提供する店があり、冷やしおでんという新しいスタイルも登場しました。
