【概要】
福島県二本松市の二本松城跡(霞ヶ城公園)にある古井戸。「日本の三井」の一つに数えられる。深さは約16メートルあり、さらにその下の岩盤を約14メートルくり抜いて北方に達していると言われる。かつては底が見えないことから「底なし井戸」とも呼ばれ、千葉県の月影の井、神奈川県の星影の井と共に、日本の名井として知られる。
【歴史】
日影の井戸は、福島県二本松市にある二本松城跡(霞ヶ城公園)に残る古井戸で、畠山氏がこの地に城を築いた応永年間(1400年ごろ)に掘られたと伝わります。以来、丹羽氏の居城となった江戸時代を通じて、城内の貴重な水源であり続けました。千葉県の月影の井、神奈川県の星影の井とともに「日本の三井」と称され、日・月・星の名を分け合う三名井の一つとして古くから知られてきました。
【特徴】
深さは約16メートルで、さらに底の岩盤をえぐって北方へ約14メートル達しているとされ、昭和初期までは俗に「底なし井戸」と呼ばれていました。名の由来は、山陰の深い場所にあって日の光が届きにくく、水面に日の影が映らないことにちなむと伝わります。600年余りを経た今も湧水は絶えることがなく、石組みの井筒には苔がむし、山城の水の手の姿をよく伝えています。
【見どころ】
日影の井戸は本丸へ向かう登り道の途中にあり、復元された箕輪門や本丸石垣とあわせて城跡散策のなかで見学できます。井戸のそばには由来を記した案内板が立っており、二本松少年隊の悲劇で知られる戊辰戦争の舞台とともに歴史を感じ取れます。霞ヶ城公園は桜と菊の名所でもあり、春の花見や秋の二本松の菊人形の時期に訪ねれば、井戸めぐりと花見を一度に楽しめます。
【トリビア】
日影の井戸の周辺では、水面に映る影をめぐる怪談めいた言い伝えが語られてきましたが、これは山陰の暗い井戸ゆえに生まれた俗説とされます。城の井戸には抜け道が通じているという噂もあり、岩盤を北へ掘り進めた構造がその想像を膨らませたのでしょう。三名井の中で唯一の城郭内の井戸であり、伝説の井戸というより実用の水の手として使われ続けた点も、日影の井戸ならではの特色です。




