【概要】
秋田県鹿角市の「花輪祭」で、豪華絢爛な屋台と共に奉納される囃子です。「日本一の祭り囃子」とも称され、ユネスコ無形文化遺産に登録されています。三味線が加わるのが大きな特徴で、笛、太鼓、鉦と共に奏でられる旋律は優雅かつ哀愁を帯びています。
【歴史】
花輪囃子(花輪ばやし)は、秋田県鹿角市花輪の産土神・幸稲荷神社の祭礼に奉納される祭囃子で、正式名は「花輪祭の屋台行事」である。起源は定かではないが、平安時代末に京都から来た貴族が伝えた笛の曲に、のちに太鼓や鉦、三味線が加わったと伝わる。記録上は明和2年(1765年)の尾去沢銅山の定め書が最古で、幕末ごろに現在の形が整ったとされる。2014年に重要無形民俗文化財、2016年にユネスコ無形文化遺産となった。
【特徴】
太鼓・鉦・笛に三味線が加わる編成が花輪囃子の大きな特徴で、祭囃子に三味線が入る例は珍しく、艶やかで哀愁を帯びた旋律を生む。伝承曲は本囃子、二本滝、宇現響、追込、矢車、拳囃子など全12曲で、平安期に遡るとされる笛の曲から幕末の芝居囃子を取り入れた曲まで、成立時期の異なる曲が習合している。本漆と金粉で彩られた10町内の豪華な屋台の上で奏でられ、腰を落として太鼓を打つ姿と勇ましい掛け声が北国の夜を沸かせる。
【楽しみ方】
祭りは毎年8月19日と20日に行われ、10台の屋台がお囃子とともに夜を徹して町を練り歩く。最大の見どころは、鹿角花輪駅前に全屋台が集結して囃子を競演する「駅前行事」で、闇に浮かぶ金色の屋台と囃子の響きは圧巻だ。20日午前0時からの「朝詰」では町境で屋台の通行をめぐる交渉が行われ、深夜の稲村橋詰では屋台が並ぶ。町内ごとに円陣を組んで行う独特の手打ち「サンサ」も、花輪囃子の熱気を象徴する場面である。
【トリビア】
花輪囃子は「日本一の祭り囃子」と地元で称され、日本三大囃子に数えられるほか、屋台行事の夜景は日本夜景遺産にも選ばれている。囃子を支えるのは各町内の若者組織で、若者頭が中心となって伝承と運営を担う。明治期に各町が自慢の屋台を競い合ったことが今日の華やかさにつながったと伝わる。霧囃子は朝詰からの帰路で多く演奏されるため「下り囃子」とも呼ばれるなど、曲ごとに使われる場面が決まっているのも面白い。




