【概要】
蘇我馬子が588年に造営を始め、596年に一応の完成をみた日本最初の本格的な伽藍を備えた寺院です。百済から招いた技術者の手で、塔を中心に三つの金堂を配する伽藍が築かれ、飛鳥の政治と文化の中心となりました。本尊の釈迦如来坐像は「飛鳥大仏」と呼ばれ、日本最古級の金銅仏として今も創建当初と同じ位置に座り続けています。
【歴史】
飛鳥寺(法興寺)は、奈良県明日香村にある日本最初の本格的な伽藍を備えた寺院です。蘇我馬子が588年に造営へ着手し、百済から招いた寺工や瓦博士、露盤博士らの技術によって596年に一応の完成をみました。物部氏との争いに勝った馬子の発願によるもので、飛鳥の政治と文化の中心となり、大陸の新しい文物が集まる場となりました。推古天皇の時代には、聖徳太子もこの寺に深く関わったと伝わります。
【特徴】
創建時の伽藍は塔を中心に東・西・北の三方へ金堂を配する一塔三金堂式で、当時としては例のない壮大な規模を誇りました。その外側を回廊が囲み、北には講堂も備えていたことが発掘によって確かめられています。鎌倉時代の1196年に落雷で大半を焼失し、現在の本堂は1826年に中金堂跡の上へ建てられた小さな堂となっています。現在は真言宗豊山派の安居院と称し、静かに法灯を守り続けています。
【見どころ】
本堂に安置される釈迦如来坐像は「飛鳥大仏」と呼ばれ、609年に鞍作止利が造ったと伝わる日本最古級の金銅仏です。杏仁形の目とほのかな微笑みをたたえた面長の顔立ちは飛鳥彫刻そのもので、たび重なる火災や後世の補修を経ながらも、創建当初とまったく同じ位置に座り続けていることが発掘調査で確かめられました。顔の上半分に創建当初の部分が残るとされ、拝観の際に注目したいところです。
【トリビア】
飛鳥寺の西門跡の先の田の中には、蘇我入鹿の首塚と伝わる五輪塔がぽつんと立っています。645年の乙巳の変で討たれた入鹿の首がここまで飛んできたという伝承にちなむものです。写真撮影が許される数少ない大仏でもあり、間近で拝みながら住職の軽妙な解説を聞けるのも、この寺ならではの楽しみといえるでしょう。秋には寺の周りに真っ赤な彼岸花が咲き、飛鳥らしい景色が広がります。
