【概要】
宮崎県と鹿児島県の県境にそびえる高千穂峰(標高1,574m)の山頂に、太古から突き刺さっているとされる銅製の鉾(矛)です。日本神話において、神々が日本列島を作った際に使用し、その後国家の安定を願って山頂に突き刺したという伝説が残る、非常にロマン溢れる神聖な遺物です。
【歴史】
日本神話の「天孫降臨」の地とされる高千穂峰にあるため、神世の時代からの遺物として信仰されてきました。しかし実際の歴史としては、奈良時代から平安時代にかけて修験者(山伏)たちが修行の場として山に入った際、祭祀のシンボルとして奉納したものであろうと考えられています。
【特徴】
全長は約1.4メートルの銅(または鉄)製で、三叉の刃の部分が下を向いて火口の縁に突き刺さっています。柄の部分には不思議な神や仏の顔のような文様が彫られているのが特徴です。度重なる火山の噴火によって柄が折れるなどの被害を受けており、現在の柄の部分は後世(江戸時代など)に作り直されたものと言われています。
【見どころ】
険しい火山灰の斜面を登り切った者だけが拝むことができる神々しい姿が最大の見どころです。荒々しい火口の縁に立ち、広大な雲海や霧島連山を背景にして力強く突き刺さる逆鉾のシルエットは、まさに神話の世界に迷い込んだかのような神秘的な絶景です。
【トリビア】
江戸時代末期、あの坂本龍馬とその妻お龍が日本で初めてとも言われる「新婚旅行」でこの地を訪れました。その際、龍馬はなんとこの神聖な天之逆鉾を「引き抜いてしまった」という驚愕のエピソードを手紙に書き残しており、当時の彼の型破りな性格を物語っています。




