【概要】
長野県長野市戸隠地区に伝わるそばです。平安時代からの歴史を持つ修験者の携帯食が起源とされています。水を切らずに一口大にまとめて円形のざるに盛る「ぼっち盛り」という美しい盛り付けが特徴です。薬味には地元特産の辛味大根を使用することが多く、その辛味がそばの甘みを引き立てます。
【歴史】
戸隠そばは、長野県長野市の北西部に広がる戸隠高原一帯に伝わる郷土そばです。戸隠は古くから山岳信仰の拠点として栄えた土地でした。平安時代、霊山である戸隠山に集まった修験者が、携行しやすいそば粉を貴重な食料としたことに始まると伝えられています。江戸時代には江戸の寛永寺から戸隠山顕光寺へそば切りの技が伝えられたという記録も残り、参詣者をもてなす宿坊の膳として味が磨かれてきました。
【特徴】
戸隠そばの特徴は、そばの実を殻ごと挽いた粉を用い、茹でた麺の水をよく切らずに盛る点にあります。水気を含んだ麺はのど越しがよく、香りも逃げにくいとされます。高原の冷涼な気候と豊かな湧き水が良質なそばを育て、挽きたて・打ちたて・茹でたての三たてを守る店が多いことでも知られます。薬味には信州の伝統野菜に認定された戸隠大根などの辛味大根がおろして添えられ、鋭い辛みが麺の甘みを引き立てます。
【食べ方】
戸隠そばは、ぼっち盛りと呼ばれる独特の盛り付けで供されます。根曲がり竹で編んだ丸いざるに、一口大にまとめた麺を五束から六束ほど馬蹄形に並べるもので、見た目が美しいうえ、一束ずつつゆに浸しやすいのが利点です。ぼっちは一束を指す呼び名と考えられていますが、由来ははっきりしていません。まずは何もつけずに香りを確かめ、次に辛味大根のおろし汁を加えたつゆで味わうのがおすすめです。
【トリビア】
戸隠には数十軒のそば店が集まり、店ごとの麺の太さやつゆの違いを食べ比べるそば巡りが観光の楽しみになっています。奥社や中社など五社からなる戸隠神社の参道沿いにも店が点在し、参拝と合わせて味わうのが定番の過ごし方です。そば打ち体験ができる施設もあり、粉から仕上げるまでの工程を学べます。秋の新そばの時季には催しも開かれ、収穫したばかりの実の澄んだ香りを求めて多くの人が訪れます。
